葬儀の常識知っていますか?お通夜・お葬式での女性の服装マナーと身だしなみ
大人のマナーといえば、まず知っておきたいのが「冠婚葬祭」。
なかでも、特に人として問われるのが「お葬式」にまつわる常識です。
不幸事はある日突然舞い込んでくるもの。
正しいマナーを知らないでいると、急な事態に慌ててしまい、恥をかいたり失礼な行動を取ってしまうことにもなりかねません。
少し前まで「まだ若いから」と許されていた非常識な言動も、20代後半にもなれば厳しい目で見られます。
とくに女性は装いひとつとっても、服や小物の選び方やメイク・アクセサリーなど、注意すべきことが男性よりもたくさんあるのです・・・
この機会に、大人として知っておくべきお葬式の服装マナーについて、しっかりと学んでおきましょう!
どう違うの?お通夜と告別式の違い
一般的なお葬式は、二日間にわたってお通夜と告別式がそれぞれ行われます。
お通夜とは、故人のごく近しい親類や知人が集まってじっくりと故人との別れを偲ぶ会。
告別式とは、故人が生前お世話になった人など、お通夜よりもより公の儀式となります。
本来であればお通夜と告別式の両方に出席するべきですが、特に告別式は昼間に行われることもあり平日の場合は列席が難しい人も多いため、お通夜だけに出席するという場合も許されているよう。
なお、「葬儀」「お通夜」「お葬式」「告別式」の言葉の違いについては、その土地土地によって解釈が異なることもあります。
一般的な言葉の定義は以下のようになりますので、覚えておいて下さいね。
- お通夜:夜に行なうもの
- 葬儀:お通夜の翌日、原則として火葬の前に行なうもの(※一部の地域では火葬が終わった後に行なうところもあります)
- お葬式:お通夜と葬儀をあわせたもの
- 告別式:遺された人たちが故人にお別れを告げる式
お通夜とお葬式、正しい服装マナー
お葬式に参列する際、まず気をつけたいのが服装のマナーです。
故人と最後のお別れをする大切な会で、遺族や関係者に不快感を与えるような服装は大人として非常識。
故人の死を悼みご冥福を祈るためにも、正しい服装マナーを知っておきましょう。
お通夜では「完璧な喪服」が逆に失礼になることも・・・
お通夜は、葬儀とは違います。
現代は電話やインターネット、ファックスなどが発達したため、不幸があったことは遠方の人へもすぐに伝わりますよね。
亡くなってからそれほど間をおかずに情報を得られる場合がほとんどで、お通夜までに身なりを準備する時間は十分にあります。
しかし元々お通夜は、「連絡を受けてから大慌てで駆けつける」というものでした。
そのため、あまりにきちんとした喪服などで行くと失礼にあたるので注意が必要です。
お通夜に喪服で行く、ということは、「前もって準備をしていた」「死ぬことを予想していた」ということになるからです。
とは言っても、原色を使ったような派手なファッションで参列するのは非常識。
お通夜には、グレーや黒色など地味な色合いのスーツやワンピースが望ましいでしょう。
20代前半の人なら、黒のリクルートスーツでも良いでしょう。
また、「それも間に合わない」という場合は、地味な平服でも参列可能です。
葬儀では必ずブラックフォーマルを着用
お通夜とは違い、葬儀では必ず正式なブラックフォーマルを着用しましょう。
喪服はフォーマルな黒のスーツやワンピースが基本。
「スーツが黒色、わずかに覗くシャツが白色」というのも失礼にあたりますから、必ず黒のセットを身につけます。
スカートは必ずヒザが隠れる丈のものを選び、胸ぐりが大きくあいたものやノースリーブのものは避けましょう。
袖丈にも注意が必要で、夏場でも半袖は用いません。
最低でも五分丈のものを。個人的には七分丈程度のものをおすすめします。
上にジャケットを重ねて着られるタイプであれば、季節や斎場の温度にある程度対応できるでしょう。
冬場で防寒が必要な場合、コートもできれば黒色のものを。
もし黒がなければ、地味な色のものを選びましょう。
見落としがちな小物にもマナーあり!
喪服は完璧!それでは小物は大丈夫ですか?
女性はバッグやアクセサリーなど身につける小物が多いので、うっかりミスがないように全身しっかり確認しましょう。
小物に共通する注意点として、葬儀の場では“殺生”を連想させるファーやヒョウ柄などが使われた物は使えません。
ちょっとしたところにNGアイテムが入っていないかどうか、チェックして下さいね。
ストッキング・靴
ストッキングは必ず黒のプレーンなものを着用します。
ヌードカラーのものや、柄入りのものは使えません。
靴は、出来るだけ装飾の少ない黒。
エナメルなど光沢のある素材や、ビジューの付いたものは避け、ベーシックなパンプスを選びましょう。
カバン
黒のシンプルなハンドバッグかクラッチバッグを持ち、入りきらない荷物は小ぶりのトートバッグなどを活用します。
革製品も“殺生”に繋がるので、布製のものがベストです。
ハンカチ
ハンカチは白や黒の無地のものを。
冬場は手袋などが必要になると思いますが、革製品は避け布製のものを使用すると良いでしょう。
お数珠
社会人になったら一本は持っておきたいお数珠。
ある程度の年齢になったらご両親が用意してくれる場合もありますが、自分で選ぶとなるとどれがいいのか分かりませんよね。
お数珠には調べ出したらキリがないほど細かい決まりや作法がありますが、最低限抑えておきたいのは3つです。
1. お数珠には本式と略式の二種類がある
お数珠には宗派ごとに決まっている二重の本式数珠と、そうでない一連の略式数珠があります。
自分の家の宗派が分かっているなら、仏具屋さんで相談すればぴったりの本式数珠を選んでもらえます。
宗派が分からない、という人は略式数珠だけでも大丈夫です。
素材も、木や水晶、珊瑚などいろいろありまずが、略式の場合は自由に選べます。
水晶やパールなど白色の方がよりフォーマル、とする地域もありますので、お店で相談して選ぶと安心です。
2. 男性用と女性用は明確に異なり、兼用できない
お数珠には男性用と女性用があり、玉の大きさや長さが違います。
自分のお数珠を持っていないからと言ってお父さんのお数珠を持っていったりすると、恥ずかしい思いをするので注意して下さいね。
また、お数珠は自分だけのお守りであり、他人と貸し借りするものではありません。
3. パワーストーンのブレスレットはお数珠としては使えない
一番やってはいけないマナー違反がコレ!
パワーストーンのブレスレットは一見お数珠と似ていますが、あくまでアクセサリーであり仏具ではありません。
葬儀中でも見ている人は見ています。
社会人として、正式なお数珠は早めに準備しておきましょうね。
袱紗(ふくさ)
社会人として、冠婚葬祭など公の場所で祝儀や香典を渡す際には必ず袱紗が必要です。
「ハンカチでもOK」と言われる場合もありますが、あくまでもそれは袱紗をうっかり忘れてしまった場合のみ。
色は黒でなくてもいいですが、紫や茶色など地味な色あいのものを使用します。
白やベージュなど、明るい色のものは出来るだけ避けた方がよいでしょう。
アクセサリー
ゴールドやカラフルなビジューつきの派手なものは基本的に全てNG。
アクセサリーは極力外し、結婚指輪だけに留めるのがベストです。
唯一、“涙”を象徴するパールのネックレスのみ、弔事では着用を許されています。
しかし、2連3連とネックレスが連なるものは「不幸が重なる」を連想させるので避けましょう。
よくある勘違いなのですが、パールのネックレスは必須ではありません。
すでに持っているのならつけていっても構いませんが、慌てて買う必要はないでしょう。
髪型とメイクは色味を抑えてシンプルに
ヘアメイクもできるだけシンプルを心がけ、華美なメイクは控えましょう。
明るすぎる髪の色は控え、ロングヘアはまとめる
髪の色は黒が望ましいのですが、現在はカラーリングをしている人がほとんど。
そのため、よほど明るい色でなければ失礼には当たらないでしょう。
故人に非常に近しい立場だった、ということならば、お葬式の間だけ黒のカラースプレーを使うのも手です。
ロングヘアの場合は、焼香の邪魔にならないように、ゴムやバレッタでまとめます。もちろん色は黒色のものを。
メイクは色味を抑えて控えめに
女性ならではの注意点ですが、メイクにもマナーがあります。
まず、ノーメイクは避けた方がベターでしょう。
10代~20代前半ならノーメイクで許されますが、ある程度年を重ねた女性なら、フォーマルな場でのメイクはマナーです。
それから、お通夜でも葬儀でも、濃いメイクはやめましょう。
特に、赤が強い口紅は葬儀の場ではマナー違反です。
日本には、昔から
という文化があります。これは、「悲しみが深く、紅をひくこともできません」「化粧をできないほど悲しんでいます」という意味合いが込められた言葉。
片化粧の文化を受け継ぐような形で、現在でも、濃い口紅をひかないようになっているのです。
ただ、唇が荒れていて見苦しいということであれば、リップや薄いピンクの口紅で整えます。
テカりがきついグロス類やラメの入ったコスメはやめて下さいね。
お香典にまつわるマナー
お通夜や告別式の席では、まずはじめに向かうのが受付。そしてそこでお香典を渡します。
お香典の額は、故人や遺族との関係の深さや年齢などによって人ぞれぞれではありますが、一般的な額を目安に、付き合いの深さにあわせて包みましょう。
- 上司、部下 … 5000円~10000円
- 仕事関係 … 10000円
- 祖父母 … 10000円~30000円
- 叔父、叔母 … 10000円~30000円
- 兄弟、姉妹 … 30000円~50000円
- 友人、知人 … 10000円
※宗教やしきたりによって大きく変わります。
会場に着いたら、まずは受付に向かいカバンの中から袱紗を取り出します。
受付の前でお香典を袱紗から出し、「この度は誠にご愁傷さまでございました。」「このたびは突然のことでお悔やみ申し上げます」などのお悔やみの言葉と一緒に渡しましょう。
きちんと覚えておきたいお焼香の作法
お葬式の席で一番困るのが、このお焼香ではないでしょうか。
宗教によってお葬式の方法は大きく違いますが、今回は一番多いとされる仏式の作法をご紹介しましょう。
お焼香の際は、まず祭壇の横に並んでいる遺族と僧侶に一礼し、祭壇の前に立ち遺影に一礼し、焼香を指でつまんだら、目を閉じて目の高さまで上げてから香炉に静かに落とします。
基本的にはこれを3回繰り返しますが、参列者が多い場合は1回の場合もあるので指示に従います。
最後に遺影に一礼、そして遺族と僧侶に一礼をして席に戻ります。
お葬式における「常識」は時代や地域によって変化する
ここまでご紹介した装いが基本となりますが、実は、葬儀における「常識」というのは、常に移り変わるものです。
10年ほど前は「お通夜に喪服で行くと失礼にあたる」という考えが主流でしたが、現在では、「略礼装ならば可」とする声も多くなっています。
また、ダーク系統の色合いを身に着けていくのが最も一般的ではありますが、地域によっては「あえて小物を明るいものにする」という場合もあるのです。
あえて一つだけは普段通りのものを身に着けることで、「準備していなかった」「死を覚悟などしていなかった」という気持ちを表現しているわけですね。
ただ、このやり方は、あくまで一部の地域の話です。
自分が常識だと思っている事が、全国的には非常識である場合があります。
自分の出身地と違う地域の葬儀や異なる宗派の葬儀に参列する場合は、基本的な装いを知った上で、できる限りその場のマナーに寄り添いましょう。
いかがでしたでしょうか?
お葬式は、人を見送る場。
弔う気持ちが一番大切ですが、過敏になっているご遺族の気持ちに寄り添うマナーを心がけたいものですね。
大人としての常識を試される場は突然やってきます。
いざというときに慌てないためにも、きちんとしたマナーを心得ておきましょう。
Writer / コマツマヨ
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