ボーナスの使い道は旅行代と洋服代どっち?幸せなお金の使い方
6月や12月は、多くの人にとってボーナス(賞与)の時期。
ボーナスなどの臨時収入でいつもよりお金があると、
- 「冬のボーナスが出たから、今年は賢く使いたい!」
- 「税金も払い終わったから、余った冬のボーナスで何か買い物をしよう」
- 「今から夏のボーナスの使い道を考えておきたい」
- 「1年の総決算は3月。新年度になる前に、どこかにぱーっと遊びに行きたい!」
などと考える人もいるのではないでしょうか。
もちろん、そのお金はあなたのものです。あなたが一番満足する使い方をするのがよいでしょう。
しかし実は、「心理学的に見て、より満足感がある楽しみ方」というのがあるのです。
今回は、より幸せを感じるお金の使い方についてお話していきましょう。
洋服を買うより、旅行に行く方が満足感が高い
「旅行に行くか洋服を買うべきか迷っている」という、嬉しい悩みに遭遇した場合、心理学的には、旅行に行く方がよいと言われています。
これは、心理学者であるボーヴェン博士の研究のなかで、「物を買ったという事実よりも、旅行や遊びにいったという思い出の方が、より幸福感を高める」という結果が出ているからです。
これは病院などでもよく取り上げられている研究結果であり、「旅行に行くべきか、それとも洋服を買うべきか?」という質問の答えにもなります。
思い出が事実よりも心に残る理由は、「興味の移り変わり」に影響されないから

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「物を買ったという事実よりも、旅行などの思い出の方が幸福感が高い」という結果は、考えてみれば、とても不思議な結論であるかのように思われます。
「物を買った」ということは、「買った物」は手元に残りますし、場合によってはそれを売却することもできます。
しかしながら、「旅行に行った」「遊びに行った」「おいしいものを食べた」ということは「記憶」であり、「手元に残るもの」ではありません。つまり、形として残らないのです。
それなのに、なぜ、旅行などの「思い出」の方が高い満足感や幸福感を人に抱かせるのでしょうか。
この理由について、“マンガで分かる心療内科” の著者で精神科医であるゆうきゆう氏は、「手に入れた物は、いつか興味が薄れ感動も減退してしまうが、思い出というのは色あせることがないから」としています。
これは、自分自身の身に置き換えてみるとわかりやすいかもしれません。
例えば、あなたは3年前に買ったカバンや1年前に買った服を、今も当時と同じだけの愛着を持って使い続けていますか?
多くの人は、「確かに当時は夢中だったし、面白いと思ったけれど、今はもう手元にない」「飽きてしまった」と思っているのではないでしょうか?
もちろん、中には今も変わらず物を愛している方もいると思います。その人は「物」と同時に、「経験」も手に入れたのかもしれません。
しかし、「どこか行った」「楽しかった」という思い出や経験は、永遠に心に残ります。
また、カバンや洋服のように、流行り廃りがあるものとは違い、思い出に「流行」はありません。
そのため、年齢や流行の移り変わりとともに、「好きだけど着られないもの」「好きだけど身に着けられないもの」になることはないのです。
物を買うのにだってもちろん意味がある~筆者自身のエピソード~
ただ、「思い出の方が、より強い幸福感を与える」とはいうものの、「物を買うこと」が「思い出作り」に比べて劣る選択肢だ、ということではありません。
私自身の個人的な話で申し訳ないのですが、一つのエピソードとして心にとめておいていただければと思います。
私は、焼き物が好きです。毎年全国の食器市を回るほどです。
そんな私が、24歳のときに一目ぼれした額縁がありました。2万円ほどの額縁には陶器の絵が入っており、大変素敵なものでした。
しかし当時の私にとって、2万円は大金。そしてそれは、決して「生活必需品」ではありません。
そのため、当時の私は、自分自身に「必要な物ではないから」と言い聞かせてそれをあきらめた、という経緯があります。
ですが、それから4年後。仕事が軌道に乗り、2万円の金額を、完全な「お小遣い」として気軽に使えるようになりました。
4年間、ずっと忘れられなかったその商品を手元に取り寄せた時の感動は、今も忘れることができません。
その後、私はさまざまな食器に魅せられました。そのなかにはとても高価なものもありますし、今の私の経済力ではおいそれとは買えないものもあります。
1年単位で追いかけることなどよくあることであり、今一番欲しいものは3年間くらい夢を見ています。
ただ、その話をしたときに、お店の人から言われた、今でも忘れられない言葉があります。
「『これが欲しい』『一目見て、どうしても欲しくなった』というものがとても高価だったとき、それに見合うようになるまで、それを買えるようになるまで、一生懸命働くんです。『あれが欲しい』と強く思う気持ちは、働く意欲にもなります。ご縁があれば、また巡り合えます」という言葉です。
この言葉を受けて、今度の「欲しい物」を買うために、私は今日も仕事をしています。
自分が「どうしても欲しい」と思ったものを買うことは満足感に繋がる
家の一番良い位置にある、4年間かけて買ったその絵を見上げるたびに、私は当時のことを思い出します。
そしてそれを手に取れば、一生懸命だった時間がよみがえります。
あの後、同じようなインパクトで持って私を引き付けた食器を持てば、その美しさに今も感激します。
4年経ち、5年経ち、6年経っても、その思い出は色あせることはありません。
「経験」は「物品」よりも強く心に残ります。
そのため、「経験か物品どちらにしようかな?」と迷った時には、経験のためにお金を使うとよいでしょう。
しかし、「どうしても欲しかったもの」「長く欲しかったもの」を買いたい、というのであれば、物品を選ぶのがよいのではないでしょうか。
物を買い、手元に置くということは、その「欲しいもの」を買うために働いてきた時間や、それを切望してきた「思い出」をいくども思い返せるからです。
もちろん、これは私自身の個人的な解釈にすぎません。
ただ、「満足のできるお金の使い方」「10年後の自分のための使い方」を考えていくと、ボーナスの使い道も見えてくるのではないでしょうか。
せっかくお金を使うのですから、達成感と満足感がある使い方をしたいものですね。
Writer / 鍋谷萌子
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