「やる気がでない」「体がだるい」は五月病のサイン!?五月病の症状と対策
“五月病” という言葉を社会人ならば一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。
ただ、「五月病」はそもそもどういうものなのか、いったい何が原因で起こるのか、どのような症状なのか、五月病とうつ病の違い、対策はどういったものがあるのかを詳しく知っているという人の数はそう多くありません。
今回は、ゴールデンウィーク明けに起こりがちな、「五月病」について詳しく見ていきましょう。
「五月病」という病気は存在しない
実は、「五月病」という病気は存在しません。これは俗語の一種であり、正式な病名ではないのです。
ただ、この言葉は1968年から使われ始めたものであり、非常に長い歴史を持った言葉でもあります。
このため、正式な診断名としては使われませんが、便宜上「五月病」という言葉を使って症状を解説する医師もいます。
五月病になりやすい人には以下の様な特徴があると言われています。
- 几帳面
- 真面目
- 感情を表に出さず我慢してしまう
- 人と争うことが苦手
- 自分の意見をなかなか相手に伝えられない
- 責任感が強く何もかも自分で抱え込んでしまう
この五月病は、名前通り5月ごろに起きやすいものです。
日本において、4月は環境の変化が大きい月です。今まで通っていた学校を卒業し、進学する人や新入社員として就職する人がたくさんいます。
また、「卒業」「就職」ほどの大きな変化ではなくても、「進級」や「人事異動」を多くの人が体験します。
例え、それが望ましい異動や変化であっても、人間の体と心には大きなストレスがかかります。
もし、「進学してみたけれど、思っていたようなキャンパスライフと違った」「人事異動で動いたら、上司との相性が合わなかった」といったような「マイナスの変化」であったのなら、ストレスはさらに大きくなるでしょう。
しかし、この五月病は環境が変わった直後の4月くらいにはあまり起きることはありません。これには一つの理由があります。
4月は環境が変わった直後です。そのため、その環境の変化によって体と心が緊張しているので「順応しなければ!」と一生懸命になったりします。
緊張状態にあるため、周りを見渡す余裕や自分の心の内側に向き合う余裕がありません。このため、4月は五月病にはなりにくいのです。
5月になると、新しい環境に少し慣れて、周囲の状態がある程度見られるようになります。
その余裕が自分自身の抱えているストレスに気がつくきっかけとなり、五月病を発症してしまうのです。
ゴールデンウィークは会社や学校に行かなくてよいので五月病を自覚しにくいのですが、休みが終わり、また慣れない環境に戻ることで、五月病が出てくる可能性が高まると考えられています。
五月病の症状は「無気力感」が中心
では、五月病を患うと、どのような症状が出てくるのでしょうか。
五月病の症状を読み解くキーワードは「無気力感」です。
とにかく何事にもやる気を失い、機敏に動くことができなくなります。
その他にも以下の様な症状が現れるので、当てはまる方は五月病かもしれません。一度チェックしてみましょう。
- 食欲や性欲の減退
- 何事にも積極的に取り組めない
- いつもの時間に起床できない
- 目が覚めていても、ベットから出られない
- 身だしなみを整えるのが面倒(男性ならヒゲの手入れ、女性なら化粧など)
- 不登校児のように会社や学校に行くべき時間になると腹痛になる
五月病は心の病ですが、その症状は心的なものばかりではなくて、体の不調として表面化することもあります。
このように、何事にも消極的になるのが、五月病の特徴であると言えます。
うつ病と五月病の違いは「期間」
五月病は「病気」ではありません。ただ、上で挙げた症状を見て頂ければわかるのですが、うつ病と非常に近い症状を呈します。
では、五月病とうつ病を分ける判断基準は何なのでしょうか。
五月病の場合、しばらくは苦しむものの徐々に軽くなり、夏くらいになれば自然に症状が改善することが多いと言われています。
今の環境に完全に慣れ親しみ、ある程度人間関係が出来上がっていくことにより解決するのです。
ただ、この五月病に似た症状が1か月以上続き、かつ対策を打っているにも関わらず、状況が悪化していっている場合はうつ病を患っている可能性が高くなります。
特に希死概念(生きる気力を失い、死にたいと思う気持ち)が出てきたり、思考力が著しく落ちてしまい仕事でのミスを頻発したり、うまく眠れなくなったりしてきたのであれば危険信号。
すぐに病院に行くようにしなければなりません。
五月病の対策はライフスタイルの変換にあり
五月病もひどくなれば、病院に行く必要が出てきます。ただ、自分でもある程度対策をすることは可能です。
その対策は、「日々の生活」にあります。
しっかりと睡眠をとること
まず、睡眠をしっかりとるようにします。十分な睡眠を確保することは、ストレスを解消するのにもっとも手軽で簡単な方法です。
五月病が進むとなかなか眠れなくなることもありますが、体を横たえ、静かに目を閉じるなどの工夫をしましょう。
寝る2時間前に必ず湯船に使って全身を温めるようにしたり、遮光カーテンを用いたりするなど、自分と寝室の状態を良くすることも重要です。
以前ご紹介した、睡眠不足の改善法という記事もありますのでぜひ参考にしてみてください。
運動を生活に取り入れる
日常生活に運動を取り入れると血流が活発になり、“BDNF(脳由来神経栄養因子)” が増加します。
BDNFが増加すると、脳の神経が活性化されて “セロトニン” や “ノルアドレナリン” などの分泌も増えるのです。
セロトニンは幸せホルモンとも呼ばれており、セロトニンが極度に不足すると、五月病やうつ病を発症しやすくなります。
うつ病に対抗するための物質であるセロトニンの分泌量を増やすのに、運動は非常に効果的で特に有酸素運動が良いと言われています。
有酸素運動は、比較的長い時間続けられる軽度から中程度の運動のことです。
例えば、エアロビクスやサイクリング、ウォーキング、軽い水泳などが有酸素運動になります。
また、運動をすることで体を疲れさせることができるので、眠りやすくもなります。
食生活を見なおそう
運動についての説明で、うつ病や五月病はセロトニン不足が原因だとお話しました。
毎日の食事でセロトニンが増やせればかなり楽ですよね。
しかし、セロトニンはビタミンEやタンパク質のような栄養素ではないので、食事によって直接補充することはできません。
セロトニンは “トリプトファン” という栄養素から生成されます。
つまり、トリプトファンを食事で摂取すればセロトニンを増加させることが出来るということです。
大豆製品にはトリプトファンが多く含まれており、セロトニンの分泌に有効であると言われています。
その他にも以下の様な食品にトリプトファンが多く含まれています。
- バナナ
- 豆乳
- 牛乳
- ヨーグルト
- チーズ
- 納豆
- アーモンド
規則正しく、豊かな食生活はストレスを解消することにも役立ちます。
自分がリラックスできる時間を作ろう
趣味を持ち、意識的にリラックスできる環境を作ることも重要です。
読書や音楽、料理やアロマなどを楽しむのが良いでしょう。
旅行などでももちろん構いませんが、できれば
を1つ持っておくようにしましょう。辛い時はためらわず人に相談すること
「人に話すこと」は、ストレスの解消に役立ちます。
自分1人で抱え込んでいた悩みも、人に話すことによってスッキリしますし、有用なアドバイスを得られることもあります。
また、家族に話しておくことは、万が一五月病がうつ病に進んだときに、その治療のサポートをしてもらいやすくなるという意味でも有効です。
うつ病や五月病は、本人だけでなく周りの理解も治療に欠かせないからです。
このように、五月病の対策はいろいろな種類があります。
今すぐ自分一人で出来るものもあれば、誰かに頼ることで五月病を改善する方法もあるのです。
「近ごろやる気が起こらない……」ということに悩んでいるのであれば、手近な対策から取り組んでいくようにしましょう。
Writer / 鍋谷萌子
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