避妊や生理痛緩和だけじゃない!低用量ピルの持つうれしい効果と副作用
皆さんは「低用量ピル」の使用を考えたことはあるでしょうか?
避妊や生理痛緩和の効果があるとして知られるピルですが、実はそれ以外にも、美肌や女性特有の病気の予防など、メリットが沢山あります。
ですが、それと同時に見逃してはいけない副作用も存在します。
今回は、意外と知られていない「低用量ピル」の持つ効果や、知らないと怖い副作用について詳しくご紹介します!
今のところはピル服用を考えていないという方でも、ゆくゆくはピルを使うことになる可能性はあります。
大人の女性ならピルについて知っていて損はないので、ぜひ読んでみて下さいね。
そもそもピルってどんな薬?
ピルとは「女性ホルモンの一つエストロゲンを含む薬」のことで、元々は月経困難症(ひどい生理痛や出血過多など)の治療のために処方されていた薬です。
効果の一つに避妊効果があったため、エストロゲン量の少ない「低用量ピル」が登場し、避妊薬として有名になりました。
低用量ピルで避妊できるメカニズム
なぜ「低用量ピル」で避妊が可能なのでしょうか?
「低用量ピル」は、妊娠時と同じような女性ホルモンの状況を作ることで、排卵や着床を抑制し避妊します。
避妊率はほぼ100%、望まない妊娠を高確率で防ぐことができるのです。
「低用量ピル」服用のメリット
「低用量ピル」には避妊だけでなくさまざまな効果が期待できます。
ここでは「低用量ピル」の持つ避妊効果以外のメリットについてご紹介します。
生理関係のトラブルの改善
「低用量ピル」には女性ホルモンのエストロゲンとプロゲステロンのバランスを整える働きがあり、不安定な生理周期を安定させたり、生理による不快な症状を取り除いてくれる効果があります。
具体的には、以下のような効果が期待できます。
- ひどい生理痛の改善
- 生理による出血量の減少
- 生理前、生理中の肌荒れを予防
- PMS(月経前症候群・頭痛・吐き気・不眠または過眠・イライラ・不安などの症状がある)の改善
- 生理周期をきっちり28日周期に整える
- 生理の時期をずらすことが可能
薬によって生理周期をコントロールしているため、旅行などに生理が重なる時はずらすことも簡単にできます。
アクティブな毎日を送っている女性にとって、こういった生理関係のトラブルを改善してくれる効果はすごくうれしいですよね!
女性特有の病気のリスクを下げる
避妊や生理痛の治療で有名なピルには、以下のような女性特有の病気のリスクを下げて予防するという効果もあります。
- 子宮外妊娠
- 子宮内膜症
- 子宮体がん
- 卵巣がん
- 卵巣嚢腫
- 乳房良性疾患
子宮や卵巣を休ませることができる
あまり知られていませんが、「低用量ピル」を服用することで「子宮や卵巣を休ませてあげる」という効果があります。
女性の体は月に一度、卵巣から卵子が排卵され、受精卵を着床させるために子宮内膜が分厚くなり、やがて卵子とともに必要なくなった子宮内膜が剥がれ落ちて血液とともに体外へ排出されるという一連の流れが行われます。
毎月繰り返し生理があるということは、それだけ子宮や卵巣を酷使していることになるのです。
一生のうちに作ることができる卵子の数には限りがあるだけでなく、子宮や卵巣は生理を繰り返すたびに少しずつダメージが蓄積しています。
出産を経験している場合、個人差がありますが妊娠中から授乳中の約1~2年は生理がないため、その間は子宮や卵巣を休ませられます。
それに対して、妊娠・出産経験がないと子宮はずっと働き詰めの状態です。
そのため、「低用量ピル」を服用して排卵を止めることで子宮や卵巣を休ませ、ダメージを緩和する効果があると言われているのです。
こういった効果があることから、
と言われており、実際に不妊治療の一環でピルが使われることもあります。肌荒れなどを改善する美肌効果も!
「低用量ピル」にはホルモンバランスを整える働きがあります。
女性ホルモンには、次のような美肌効果があることをご存知ですか?
- 肌にみずみずしいうるおいを与える
- 皮脂分泌を抑えてサラサラの肌を保つ
- ターンオーバーを整えてきめ細かい肌にする
- ニキビなどの肌トラブルを防ぐ
- ムダ毛を細く薄くする
ホルモンバランスが正常だと、このような女性ホルモン特有の美肌効果をしっかり実感することができます。
「低用量ピル」でホルモンバランスが整うと、ニキビを予防したり多毛症(ムダ毛が濃くなる症状)を防いでくれるというわけですね。
このようなことから最近では、ニキビ予防を目的としてピルを服用する女性も増えています。
覚えておくべき「低用量ピル」の副作用
良いことのたくさんある「低用量ピル」ですが、心配な副作用も持ち合わせています。
子宮頸がんのリスクが高まる
子宮頸がんは子宮頸部(膣側に出っ張った部分)に悪性の腫瘍ができる病気で、性交によって感染するヒトパピローマウイルス(HPV)が原因です。
ただ、子宮頸がんリスクの上昇に関しては、ピル自体が原因なのか、ピル避妊によるコンドーム無しの性交が原因なのかは分かっていません。
性交経験のある成人女性の場合、子宮頸がんワクチン接種の有無に関わらず、2年に1度程度のペースで子宮頸がん検診を受けることが推奨されています。
血栓症にかかりやすくなる
血栓症は血液中に血のかたまりができて血流を止めてしまう病気のこと。
血栓のできた場所によっては心筋梗塞や脳梗塞を引き起こすこともあり、最悪の場合は死亡に至る可能性もある怖い病気です。
リスクが高まると言われてはいるものの、「低用量ピル」服用が原因の血栓症で亡くなる確率は10万分の1と言われています。
しかし、2013年に日本国内でピル服用中の女性が血栓症によって死亡したケースが11件、重症例は361件もあったという報道がされており、決して無視できる数字ではありませんね。
また、煙草を吸っていると血栓ができやすいため、「35歳以上で1日15本以上煙草を吸う喫煙者はピルを服用できない」というルールが設けられています。
20代であっても、「喫煙者にはピルを処方しない」という方針の医師も多いため、煙草を吸う方はまず禁煙してからピル服用を考えるようにしましょう。
「低用量ピル」飲みはじめの体調の変化
最初の方で少し触れましたが、「低用量ピル」は妊娠中と同じようなホルモンバランスにすることで排卵をストップさせる薬です。
このため、飲みはじめは体がいつもと違う状態になってしまうため、以下のような体調の変化が現れます。
- 頭痛
- 吐き気
- 胸が張る
- にきびが増える
- 微熱
- 不正出血
こういった症状は、低用量ピルを1シート(28日分)飲みきる頃には無くなっていることが多いので、あまり症状が重くなければそのまま飲み続けても問題ありません。
ただし、症状が重かったり1か月以上飲み続けても改善しない場合には、医師に相談してピルの服用を中止するか、薬の種類を変えてもらうなどの対応をとりましょう。
「低用量ピル」は代表的なトリキュラーをはじめ、マーベロン、アンジュ、オーソ、ルナベルなど複数の種類があり、薬によって合う合わないがあります。
どれかひとつがダメでも他のピルなら副作用が出ないこともあるので、「ピルを続けたいけど副作用が辛い」という時は無理せずお医者さんに相談してくださいね。
「ピルを飲むと太る」は本当?
女性ホルモンには、皮下脂肪を付けふっくらと丸みのあるボディラインにする働きがあるため、
と言われています。しかしこれは「中用量以上のピル」の話で、「低用量ピル」で太りやすくなるという副作用は心配しなくて大丈夫です。
「低用量ピル」をもらうために必要な検査や費用
「低用量ピル」は処方せんが必要な薬のため、病院で医師の診察を受けた上で処方せんを書いてもらい、調剤薬局で薬を購入します。
生理痛や生理不順といった、病気の治療目的で「低用量ピル」を処方してもらうのであれば保険適用になります。
しかし、避妊や美肌のために処方してもらう場合は自由診療の範囲となり、保険を使うことばできず全額自己負担となります。
自由診療の場合は医師やクリニックが自由に料金を設定できるので、受ける診察の内容や費用が気になるところですよね。
次は、「低用量ピル」をもらうために必ず受ける必要がある診察や検査の内容、費用についてご紹介します。
「低用量ピル」をもらえる場所
医師はどんな薬でも処方できるので、婦人科や産科以外でも「低用量ピル」の処方せんを書いてもらうことは可能です。
ただ、医師がきちんとピルの知識を持っていないと何かあった時の対応が不安なので、やはり婦人科で処方してもらうのがおすすめです。
また、ニキビ治療のために「低用量ピル」を試したい場合には、ピルの処方を扱っている皮膚科や美容クリニックに行ってみるというのもアリです。
診察内容と受診時の持ち物
避妊目的で「低用量ピル」をもらう場合に必要な診察は、基本的には二つだけです。
- 問診
- 血圧測定
以前はルールが決まっていなかったため、悪質なクリニックが不要な検査を行い高額な請求をするというケースもありましたが、今はそういったトラブルは減っています。
ただし、避妊以外にも生理関係の症状を改善したいという場合では、内診など他の検査が必要かもしれません。
また、「低用量ピル」の服用は血栓症のリスクを高めることが分かっているので、念の為に血液検査が行われる場合もあります。
診察代、薬代などの費用
診察内容や検査内容によって病院での支払い額は異なりますが、初診料は1,000~3,000円で収まるケースが多いようです。
血液検査をしても5,000円程度で済むのではないでしょうか。
また、「低用量ピル」の料金は薬の種類によって多少前後しますが、1シート(28日分)で2,000~3,000円程です。
「低用量ピル」は飲み始めに吐き気や不正出血などの副作用があるため、基本的に初診では1シートしか出さない病院が多いです。
なので、初診時にかかる費用は多く見積もっても1万円弱ということになり、大体1万円~1万5千円程度持って行けば大丈夫でしょう。
ただし、この金額はおおよその額で、病院や診察内容によってはもっと高額になることもありますので、不安な方は、事前に電話などで病院へ確認して下さい。
ピルをもらいに病院へ行く時の持ち物
診察費などの支払いに必要なお金以外にも、あると良いかもしれない持ち物をご紹介します。
保険証
基本的に全額自己負担のピルですが、病院によっては診察や検査のみ保険適用にしてくれることもあります。
保険証を持っていれば費用が安くなるかもしれないので、念の為持って行きましょう。
健康診断のデータ、献血記録
1年以内の健康診断または献血の血液検査の結果があれば持って行くのがおすすめです。
ピル処方の前に血液検査をするクリニックだと、こういった検査記録があれば血液検査をパスできることがあります。
内診に備えて服装はスカートで
避妊目的でピルをもらいたいだけでなく、生理関連や、子宮・卵巣の検診もかねて婦人科へ行く場合は、内診がある可能性が高いので、フレアスカートをはいていくと検査時に便利です。
「低用量ピル」にはメリットがいっぱい!だけど服用は慎重に
「低用量ピル」の持つメリット・デメリットについてご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか?
「低用量ピル」という言葉は知っていても、実際どんな物なのかは知らないことがたくさんありますよね。
避妊や美肌効果が注目され「低用量ピル」を気軽にすすめる傾向もありますが、血栓症リスクなど知らないと怖い副作用もあります。
「低用量ピル」はホルモンに作用する薬であるということ、病気のリスクがあるということ、特定の持病がある方や喫煙者は服用できないことを覚えておいて下さいね。
そして、リスクも知った上で「低用量ピル」服用を考えた際は、必ずピルについて詳しい医師がいる婦人科で処方してもらいましょう。
Writer / ニヒラユウ
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