タバコを吸う、吸わないに関わらず、多くの方は、タバコに対してこのようなイメージを持っていると思います。
“タバコを吸うと、肺がんになる”
では、多くの方が持っているこのようなイメージは、果たして本当なのでしょうか?
今回は、“タバコと肺がんの不都合な真実”について解説したいと思います。
“タバコを吸うと肺がんになる”は本当?
結論から言うと、“タバコを吸うと肺がんになる”というのは、嘘だと言えます。
ただ、“タバコは肺がんに関連している”という言い方にすると、これは事実になります。
どういうことなのでしょうか?
がんには、複数の種類があり、喫煙者と非喫煙者の発症率を比較すると、喫煙者の発症率が高いがんを“たばこ関連がん”と言い、これには肺がんも含まれています。
これは、疫学調査によって証明されている、紛れもない事実です。
しかし、これはあくまで、“喫煙者は、非喫煙者と比べて肺がんになる可能性が高い”というデータであり、“タバコを吸うと肺がんになる”ということを裏付けるものでありません。
つまり、“タバコを吸うと肺がんになる”ということは、医学的にはまったく証明されていないことなのです。
喫煙者は減少傾向、しかし肺がんでの死亡者は増加
肺がんの原因がタバコではないということを裏付けるデータに、喫煙者率と肺がん死亡者数の比較があります。
喫煙者率は、1960年頃をピークに、少しずつ減少しています。
一方、肺がんの死亡者数は、年々増加の一途をたどっています。
タバコを吸うことが肺がんに繋がるのであれば、喫煙者率と同じように、肺がんの死亡者数も減少していかないと、辻褄が合いませんよね。
ただ、実際肺がん死亡者数は、減少するどころか、年々目に見えて増加しているため、これを見る限り、“タバコを吸うと肺がんになる”ということは、嘘だと言わざるを得ないでしょう。
肺がん患者には非喫煙者が多い?
“タバコを吸うと肺がんになる”ということは、医学的には証明されていませんが、先ほども少し触れたように、喫煙者が非喫煙者よりも“肺がんになる可能性が高い”のは事実です。
ただ、肺がん患者には、非喫煙者も多く存在します。
山王病院副院長によると、最近に手術を肺腺がん患者100人のうち、半数以上の60人は、非喫煙者であったと言います。
肺腺がんは、肺がんの半数以上を占める代表的ながんのため、この情報からは、肺がん患者の多くが喫煙者だということではないことがわかります。
禁煙すれば寿命は長くなるのか?
“タバコを吸うと肺がんになる”ということ以外にも、多くの方がタバコに持っているイメージがあります。
それは、“タバコを吸うと寿命が短くなる”というイメージです。
ただ、実はこれも、それほど正しいイメージだとは言えません。
なぜなら、喫煙者と非喫煙者の死亡率を比較したときに、それほど差がないことがわかっているためです。
例えば、健康な男性の場合、年間の死亡率は非喫煙者が10万人あたり962人なのに対し、喫煙者は10万人あたり1,559人となっています。
これくらいの差で、“タバコを吸うと寿命が短くなる”と断定するのは、いかがなものかと思いますね。
ただ、がんだけでなく、すべての原因での死亡者を見ると、喫煙者が非喫煙者よりも短命だとうデータが出ています。
“タバコを吸うと肺がんになる”に因果関係がないことは“不都合な事実”なのか?
少し話を戻しましょう。
何度も言うように、“タバコを吸うと肺がんになる”というイメージは、正確には間違っています。
ただ、いまだに多くの方が、”タバコ=肺がん“というイメージを持っていますし、この事実が大っぴらに語られることはほとんどありません。
なぜなら、これは”不都合な事実“であるためです。
では、これは誰にとって不都合な事実なのでしょうか?
それは、“医者”と“厚生労働省”です。
医者が大っぴらに「“タバコを吸うと肺がんになる”は間違えている」ということを語ってしまうと、禁煙外来などによる集患は減少してしまいます。
もちろん、多くの医者は、タバコが肺がんの原因になるわけではないことを把握していますが、稼ぎ口がなくなってしまうため、なかなかハッキリとは口に出せないのです。
また、タバコが身体に悪いものなのは事実であるため、医者という立場上、喫煙を勧めるような発言はできないことも関係していると言われています。
そして、タバコが肺がんの原因になるわけではないことは、厚生労働省も把握しています。
ただ、これも大っぴらに語ってしまうと、近年積極的に進められている禁煙運動に水を差す形になってしまうため、あまり語ることができないのです。
タバコを吸い続けても問題ないというわけではない
しつこいようですが、タバコが直接肺がんの原因になるということは、医学的には解明されていません。
ただ、勘違いしていただきたくないのは、タバコを吸い続けても問題ないというわけではないということです。
喫煙者の方は、“肺がんになってしまった後”が大変なのです。
まず、喫煙者の肺がん患者は、なかなか手術を受けることができません。
なぜなら、喫煙者の肺がん手術は非常に難しく、予後も良くないためです。
そのため、多くの病院では、喫煙者の肺がん手術は断られてしまい、その他の治療法も行われることがほとんどありません。
つまり、門前払いされてしまうということですね。
もちろん、禁煙をして非喫煙者(元喫煙者)という立場になれば話は変わってきますが、それでも禁煙してすぐに治療を受けるのは難しいでしょう。
喫煙者の肺がん患者は治療の選択肢も多くない
また、喫煙者の肺がん患者は、非喫煙者の肺がん患者と比べて、治療の選択肢も狭まってしまいます。
具体的には、非喫煙者の治療の選択肢が5つあるとすれば、喫煙者はその半分以下しかありません。
また、喫煙者の肺がん患者は、投薬治療が難しく、大体は身体を大きく切り開く治療を施すことになります。
治療というよりは、手術ですね。
そのため、非喫煙者と比べて、肺がん治療の傷跡が大きく残る可能性も高くなります。
喫煙者の肺がん患者には、画期的な薬もほとんど効果がない
昔は“がん=治らない病気”というイメージが強かったですが、近年は“治療できる病気”というイメージが一般的になりつつあります。
特に、通常の抗がん剤よりも大きな効果が期待でき、なおかつ副作用の心配が少ない“分子標的薬”は、画期的ながん治療薬として使用されています。
従来の抗がん剤が、がん細胞だけでなく、健康な細胞までも見境なく排除してしまうものであったのに対し、分子標的薬は、がん細胞のみをターゲットにして作用するというとても優れたものです。
ただ、先ほども触れたように、喫煙者の肺がん患者は、投薬治療が難しい状況にあります。
それは、分子標的薬のような画期的な薬を使っての治療も例外ではありません。
もし、分子標的薬を使用したとしても、喫煙者の肺がん患者は非喫煙者と比べて良い効果を得られず、もっと言えば、重篤な副作用が出る可能性も高いことが報告されています。
まとめ
ここまで、“タバコと肺がんの不都合な真実”について詳しく解説してきましたが、いかがでしたか?
今回覚えて帰っていただきたいことは、まず“タバコを吸うと肺がんになる”ということが、医学的に証明されていないということです。
また、タバコが肺がんの原因になるわけではないですが、もちろん肺がん患者の中には喫煙者の方もおり、喫煙者が肺がんになってしまうと、治療に苦しむことは避けられないでしょう。