近年、不動産契約に電子契約が導入されています。
これまでの紙の書類による契約から切り替わりつつある電子契約ですが、よく知らないという人にはどういった仕組みなのかが分からないかもしれません。
電子契約はどのようなもので、利用できる範囲はどこまでかを解説します。
電子契約とは?
通常、契約をする際は紙の書類に契約内容をまとめ、そこに双方が署名・押印をして取り交わします。
電子契約というのは、その契約書を電子データにしたものを言います。
電子契約でも、合意したという証拠は必要です、
しかし契約書が電子データになると、これまでの様に直接署名や押印をすることはできません。
だからと言って、一旦紙に出力するのでは今までと変わらないでしょう。
電子契約の場合は、署名や押印の代わりに電子署名をするのです。
電子署名をすることで、内容に合意したという証明になるのです。
電子署名というのは、第三者に改ざんされていないという証明に用いられます。
有効性については、電子証明書で本人性が、タイムスタンプで改ざんされていないことが担保されるという仕組みになっています。
電子契約の場合は第三者による認証などが必要となるのですが、もっとシンプルなものとして電子サインというものもあります。
この場合は第三者認証が必要無いため、導入する難易度も低く電子文書の確認や承認などの場面で良く用いられています。
また、電子契約の有効性については、2つの法律で保証されています。
電子署名法(電子署名及び認証業務に関する法律)と、電子帳簿保存法という法律です。
この2つは、それぞれどのようなことに関する法律なのでしょうか?
電子契約というものが広く認められるようになったのは、電子署名法の成立が大きな役割を果たしています。
この法律が施行されたのは、2001年4月のことでした。
電子文書の中で、本人が電子署名をした者についてはそれを有効なものと見つける、という主旨の法律であり、要するに電子署名がある電子契約は有効という意味です。
つまり、電子契約の基礎となる法律です。
もう1つの電子帳簿保存法というのは、国税関係の書類を電子データとして保存することに関わる法律です。
該当する書類を、一定の条件を満たしている場合に限り電子データで保存することを認めるという法律です。
電子契約が可能な範囲は?
電子契約という方法が認められて入るのですが、全ての契約を電子契約にすることはまだできません。
契約書によっては、電子契約ではなく契約書を紙で保存することが義務付けられているものもあるのです。
不動産取引でも、電子化できる契約書類は限られています。
元々はほとんどの書類で宅建士の押印が義務付けられていて、書面化しなくて班けなかったのですが、徐々に電子契約への切り替えが認められてきているのです。
電子契約が可能なのは、まず賃貸物件の更新や退去などの際に取り交わす合意書という書類です。
これは紙の書面にする義務がなく、電子契約で取り交わすことが可能なのです。
賃貸借契約書は、以前であれば駐車場の契約に限り宅建業法の規定がなかったので、電子契約にしても良いとされていました。
しかし、2022年5月に法律が改正されたことで、賃貸借契約書については全て電子化が可能となり、電子契約も出来るようになりました。
また、不動産契約には重要事項の説明が必要とされているのですが、それについても電子交付が可能となっています。
電子契約の際は、まず重要事項説明を電子交付してから契約することとなります。
電子契約における電子署名は、書面の契約書における押印に該当するもので、それがあることで電子契約書や重要事項説明書といった書類の正当性が担保されます。
その署名があることで、電子契約が有効となるのです。
しかし、電子署名をするのは誰になるのでしょうか?
不動産取引では、賃貸借契約なら貸主と借主の双方が、売買契約なら売主と買主の双方がそれぞれ電子署名をするのが一般的です。
また、宅建士も重要事項証明のため、電子署名をすることになります。
電子契約をするためには、メールアドレスの確認と本人認証が必要となります。
なぜかというと、メールなどで電子データのやり取りをするからです。
電子契約の場合は非対面での契約が可能なので、コロナ禍では安心できるでしょう。
ただし、いくら電子署名をするからと言っても、非対面である以上はなりすましのリスクなども心配されます。
それを防ぐために、電子契約サービスなdの本人確認が可能となる仕組みを導入するべきでしょう。
まとめ
電子契約は、紙の契約書を使わないため収入印紙なども不要です。
また、保管場所も必要なくなります。
企業としてはコストカットにもなるため、今後は不動産取引に限らず様々な場面で使用されるようになるでしょう。
また、電子データをメールでやり取りして契約できるので、遠方にいる人とも現地に赴かずに契約できます。
それによって、ビジネスチャンスも増えていくでしょう。