“新しいNISA”とは?

時事ネタ

資産形成に活用されることの多い税制優遇制度であるNISA(少額投資非課税制度)が見直され、2024年から“新しいNISA”がスタートします。
こちらの内容について、何がどう変わるのか気になる方は多いかと思います。
今回は、新しいNISAの概要やメリットなどについて、詳しく解説したいと思います。

新しいNISAの概要

そもそもNISAとは、株式や投資信託などの売却時における利益に発生する税金を、一定期間非課税で運用できる制度をいいます。
課税口座に比べお得に投資運用を行えることから、2013年に開始されて以来、これまで1,600万以上のNISA口座が開設されています。
また、NISAには一般NISAの他、未成年を対象としたジュニアNISA、長期の積立投資をサポートするつみたてNISAがあります。
新しいNISAは、こちらのNISAにおける非課税枠、非課税期間、対象商品といった項目を変更したものです。
具体的には、一般NISAとつみたてNISAが合体した2階建ての投資であり、1階では年間20万円までつみたてNISAと同様の投資信託に投資でき、2階では年間102万円まで、上場株式や投資信託などに投資することができます。
2階建てになったことにより、5年間の合計投資額がわずかに増加しています。
ちなみに、現行のNISAについては、2023年で新規投資を終了します。

新しいNISAのメリット

新しいNISAのメリットは主に以下の通りです。

・投資枠が大幅に拡大する
・世代間の不公平がなくなる
・売却をした枠で再投資ができる
・積立投資をしながら個別株にも非課税で投資できる
・非課税期間満了時の対応を考える必要がない

投資枠が大幅に拡大する

新しいNISAの年間非課税投資枠は、つみたて投資枠の120万円、成長投資枠の240万円を合計した360万円です。
現行の年間非課税投資枠は、つみたてNISAが40万円、一般NISAが120万円であるため、投資枠は大幅に拡大します。

世代間の不公平がなくなる

現行の一般NISAの非課税期間は最長5年、つみたてNISAは最長20年であるのに対し、2階建てとなっている新しいNISAは、非課税期間が無期限に変更されています。
これまでのNISAは、非課税期間に期限があったことから、どうしても早く利用し始めた方の方が有利になってしました。
一方、新しいNISAは、始める時期にかかわらず、恒久的に非課税であるため、これまで投資にあまり興味がなかった方や若い層の方なども、利用しやすい環境だと言えます。

売却をした枠で再投資ができる

新しいNISAでは、保有する金融機関の売却後に、その枠が復活します。
現行のNISAでも、保有する金融商品はいつでも自由に売却することができましたが、一度利用した非課税枠に関しては、このような再利用ができなかったため、こちらは大きなメリットだと言えます。

積立投資をしながら個別株にも非課税で投資できる

現行のNISA制度でつみたてNISAを選択すると、一般NISAで個別株に非課税投資をすることはできません。
一方、新しいNISAでは、積立投資をしながら、個別株にも非課税で投資ができるようになります。
そのため、つみたて投資枠で長期の積立を行い、資産を少しずつ大きくしながら、成長投資枠で個別株に投資し、短期の利益を狙うなどの戦略が実践できます。

非課税期間満了時の対応を考える必要がない

現行のNISAでは、非課税期間が満了時の商品の価格に応じ、NISA口座内の金融商品を課税口座に移すか、もしくは売却しなければいけませんでした。
つまり、前もってこちらの対応について考えておく必要があったということです。
新NISAは、金融商品の保有が無期限であるため、このような選択を迫られることもありません。

新しいNISAの注意点

メリットの項目で、新しいNISAは、現行のNISAと比べて、これまで投資に興味がなかった方や、若い層の方も始めやすいという話をしました。
しかし、こちらはあくまで世代間の不公平がなくなるという観点から見た場合のことであり、運用にある程度の知識がいるという点では、いきなり始めるにはややハードルが高いと言えます。
2階建て部分に関しては、つみたてNISAよりも選べる金融商品の種類が豊富であり、非課税枠も一般NISAより多く、比較的投資の自由度が高いことは確かです。
ただし、その分運用に関するある程度の知識が求められます。
また、新しいNISAでは、海外株式型の投資信託への投資額が大幅に膨らんでいます。
こちらは、投資の選択肢が増えたという点では喜ばしいことですが、言い換えれば国内の投資家が、資本効率や成長性に優れる海外企業を好んでいる結果であり、家計の資金が海外に流出するキャピタルフライトのリスクを含んでいると言われています。
もちろん、新しいNISAでは、日本の個別株への投資も可能ですが、いずれにしてもNISAで長期的に資産形成をすると考えた場合、日本株だけでは大きな成長を見込めないのが現状です。

まとめ

ここまで、新しいNISAの概要やメリット、問題点などについて解説しましたが、いかがでしたでしょうか?
新しいNISAは、仕組みとして現行のものより多少複雑化しているものの、投資における優位性や選択肢が上昇、増加していることは事実です。
そのため、興味がある方は、より詳しく現行NISAとの違いを把握し、自身のポートフォリオに採り入れるかどうかを判断してください。

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