前回の記事では、来月8日に開催されるWBC(ワールド・ベースボール・クラシック)の内野手メンバーの起用法や戦力について、ポジション別に解説しました。
今回は、少数精鋭で臨む外野手メンバーにスポットを当てて紹介し、起用法などについて分析してみたいと思います。
ぜひご覧ください。
侍ジャパンの外野手メンバー一覧
今回のWBCにおいて、侍ジャパンの外野手メンバーとして選ばれている選手は以下の通りです。
・近藤健介(福岡ソフトバンクホークス)
・周東佑京(福岡ソフトバンクホークス)
・ラーズ・ヌートバー(セントルイス・カージナルス)
・吉田正尚(ボストン・レッドソックス)
・鈴木誠也(シカゴ・カブス)
投手が15人、内野手が7人(捕手を除く)選ばれているのに対し、外野手はトータルで5人と招集人数が少なくなっています。
こちらは、やはり投手の招集メンバーを増やし、内野手を含めた守りの野球を実践するにあたって、どうしても外野手の人数を減らさなければいけなかったことが原因だと言えます。
また、外野手の特徴としては、現役のメジャーリーガーが多く選出されている点も挙げられます。
鈴木誠也選手が出場辞退
外野手メンバーは、主軸を担う可能性の高いバッターが多く、シカゴ・カブスの鈴木誠也選手もその一人でした。
鈴木選手は、これまでプレミア12、東京オリンピックといったさまざまな国際大会において、侍ジャパンの4番に座ってきた選手です。
しかし、今月27日、左脇腹を痛めていたことが発覚し、精密検査の結果、今回のWBCを辞退することが決定しました。
こちらは、日本代表にとって大きな痛手であり、本記事の執筆時点ではまだ決定していませんが、外野手の代替選手として、代表候補に入っていた近本光司選手(阪神タイガース)などが招集される可能性があります。
では、鈴木選手の出場辞退を踏まえた上で、外野の各ポジションにおける戦力や起用法を分析してみます。
左翼手(レフト)
レフトを守る可能性があるのは、以下の2選手です。
・近藤健介
・吉田正尚
近藤健介選手は、巧みなバットコントロールと高い出塁率が持ち味の選手であり、その実力は“打率4割にもっとも近い男”と言われていたほどです。
日本のプロ野球界において、シーズン打率4割を記録した選手はまだ1人も存在しないことから、どれだけ近藤選手が高い評価を受けているかがわかります。
また、吉田正尚選手は、プロ7年間で通算5回の打率3割、2度の首位打者、最高出塁率のタイトルを獲得している強打者で、今年からメジャーリーグのボストン・レッドソックスに移籍しています。
侍ジャパンでは、おそらく所属チームでほとんどレフトしか守っていない吉田選手が、レフトの守備につくと見られています。
中堅手(センター)
走力と広い守備範囲が求められるセンターを守る可能性があるのは、以下の3選手です。
・近藤健介
・ラーズ・ヌートバー
・周東佑京
近藤選手は、昨年まで所属していた北海道日本ハムファイターズにおいて、センターを守った経験があり、送球の正確性など、守備力にも定評があります。
また、WBCにおいて初めて国外選手として侍ジャパンに選ばれたラーズ・ヌートバー選手は、日本人の母を持つ日系2世であり、メジャーリーグのセントルイス・カージナルスにおいて、出塁率の高い1番バッターとしてチームをけん引しています。
どちらの選手もセンターは本職ではありませんが、鈴木選手の辞退があったことを踏まえると、近藤選手がセンターを守り、なるべく攻撃力を落とさない布陣になる可能性はあります。
ちなみに、所属チームでセンターやセカンド、サードなど複数のポジションを守っている周東佑京選手は、その類稀なる走力と走塁センスがあることから、代走の切り札として起用される可能性が極めて高いです。
2019年に開催されたプレミア12においても、周東選手は試合終盤の重要な場面で2盗、3盗を決めるなど、代走の切り札として大舞台で力を発揮しています。
右翼手(ライト)
今回、侍ジャパンで選ばれた外野手の中で、ライトを本職としている選手は、ラーズ・ヌートバー選手と鈴木誠也選手でした。
しかし、前述の通り鈴木選手はすでに代表を辞退しているため、そのまま本職であるヌートバー選手がライトに入る可能性が高いです。
つまり、レフト吉田選手、センター近藤選手、ライトヌートバー選手という布陣が現実的だということです。
ただし、鈴木誠也選手の代替選手として、センターが本職の近本光司選手、西川龍馬選手(広島東洋カープ)などが選出された場合、センターのスタメンとして試合に出場することは十分に考えられます。
まとめ
ここまで、WBCの侍ジャパンにおける外野手メンバーの戦力や起用法について解説しましたが、いかがでしたでしょうか?
攻守の軸である鈴木選手が離脱したことは、侍ジャパンにとって大きな痛手であることは間違いありません。
それでも、日本伝統のチームワーク、代替選手によって、鈴木選手の穴をカバーすることができれば、攻守でバランスの良い外野陣をつくり上げることは可能です。