少子化対策の財源は国債で賄うべき理由

時事ネタ

仕事と子育ての両立の負担感、子育ての負担感を緩和・除去し、安心して子育てができる環境を整備するのが少子化対策の目的です。
また、少子化対策を行うにあたって、国はさまざまなところから財源を確保しようとしていますが、こちらは国債で賄うべきだと言えます。
今回は、こちらの理由を中心に解説します。

少子化対策とその財源の現状について

岸田政権は、“次元の異なる少子化対策”というものを打ち出しています。
こちらは、児童手当などの経済的支援の強化、学童保育や病児保育、産後ケアなどの支援拡充、働き方改革の推進という3つを柱にするもので、実現するためには数兆円単位の新規財源が必要になるとされています。
また、こちらの新規財源としては、社会保険料を充当する考え方が政府・与党内で有力となっています。
しかし、社会保険料を主な財源とする社会保険方式では、病気やケガ、介護、失業など、個人では解決できないリスクを被保険者の支え合いでカバーすることに力点が置かれていて、有識者の間では、「出産や育児がリスクなのか」という根本的な疑問を拭いきれないとの声が出ています。
ちなみに、政府が今年6月中にまとめる“こども未来戦略方針”案では、子ども・子育て政策の強化について、「具体的な内容、予算、財源を一体的に検討した上で、年末までに結論を出す」ということがわかっています。
岸田首相は、6月の骨太の方針までに、財源に関して検討を深めると強調してきましたが、負担増を伴う具体的な議論は先送りになりました。
つまり、今後の少子化対策における財源については、まだ明確になっていないということです。

少子化対策の財源になり得る国債とは?

国債とは、国が発行する債券のことであり、日本国が発行するものは日本国債と呼ばれています。
資金を借り入れするときに発行される有価証券で、借用証書でもあります。
国家として、社会保障の整備や各種インフラ整備などには、税金を当てるのが一般的です。
しかし、それらの財政支出が税収入で賄えなくなると、国は国債を発行し、投資家から資金を募ります。
国の借金の申し出に賛同した投資家が国債を購入することにより、国に資金が流入するという仕組みです。
”国債=国の借金“という捉え方が一般的なのは、このような国家と投資家のやり取りがあるからです。

少子化の財源を国債で賄うべき理由

政府が特定の歳出をする際には、国債発行、増税、歳出削減という3つの手法を用います。
これらのうち、財源と呼んで良いのは国債のみです。
なぜなら、残りの2つは、増税によって国民の取得を歳出に差し替えることや、歳出削減によって歳出の一部を別の歳出に差し替えることであり、財政支出の源にはなり得ないからです。
こちらが、少子化の財源を国債で賄うべき理由です。
“少子化対策とその財源の現状について”の項目でも触れたように、現在岸田政権では、社会保険料を少子化対策の新規財源に充てる案が浮上しています。
しかし、こちらは社会保険料の根本的な定義との一貫性がなく、なおかつ国民の負担が増えることから、反対の声が多く上がりました。
そのため、結局のところ、次元の異なる少子化対策を実践するのであれば、その財源確保は国債発行にならざるを得ないと言えます。
もっと言えば、そもそも増税や歳出削減といったものの国民負担が重すぎることが、少子化の一因です。
特に、結婚適齢期の男性がこれらを大きく負担するケースが多く、国債発行以外の方法による財源確保は、明らかに矛盾した対策ということになります。

社会保険料引き上げや歳出削減におけるその他の悪影響

少子化対策の財源として、社会保険料を引き上げることは、国民の所得を増やさないことに加え、子育て世帯ではないにもかかわらず、社会保険料を引き上げられる世帯が出ることにもつながります。
こちらは、子育て世帯と非子育て世帯との分断を引き起こすため、国民のみならず、国にとっても決して良いことではありません。
子育て世帯、非子育て世帯の両方に寄り添い、なおかつ国民の負担や不満を増やさないことが大事になってきます。
また、社会保障費(医療、介護など)の削減が行われると、高齢者の負担を重くし、非子育て世帯の社会保障費も例外なく削減されます。
こちらも、子育て世帯と非子育て世帯の分断につながります。
国債の発行には、このような国民に損をもたらすことが基本的にはありません。
もちろん、国債発行で需要が拡大し、デマンドプルインフレになることは考えられますが、社会保険料の増加などよりかは、こちらの方が現代の国民が共に背負うべき負担として相応しいと言えます。

まとめ

ここまで、少子化対策の財源を国債で賄うべき理由を中心に解説してきましたが、いかがでしたでしょうか?
増税や歳出削減など、国債発行以外の方法は、単なる貨幣の付け替えに過ぎず、需要創出効果はほとんどありません。
今後、国がこちらの内容について議論できるかどうか、自民党の政調が、堂々と「国債を財源とすべき」と提言できるかどうかが、次元の異なる少子化対策のキーポイントになってきます。

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