2016年にスタートしたマイナンバー制度は、日本に住民票を置く全員に対し、12桁の個人番号が割り当てられるものであり、こちらを証明するカードがマイナンバーカードです。
また、2021年には、マイナンバーカードを利用した“マイナ保険証”の本格運用がスタートしました。
今回はこちらについて詳しく解説します。
マイナ保険証の概要
マイナ保険証とは、前述したマイナンバーカードの健康保険証利用のことをいいます。
マイナンバーカードに付帯された個人認証機能を利用し、病院やクリニック、薬局などの窓口において、従来の健康保険証に代えて利用できるようにするものであり、すでに運用は始まっています。
すべての医療機関や薬局で利用できるわけではありませんが、令和5年3月末には、概ねすべての医療機関等での導入を目指すこととされています。
また、国は将来的に、現在の健康保険証を原則廃止し、マイナ保険証を普及させる方針を取ろうとしています。
実際に、2022年5月に行われた社会保障審議会の部会では、マイナ保険証に対応するための整備を2023年4月から、全国の医療機関等に義務づける方針の提案がなされました。
医師会からは反対の声が挙がっていたり、国民への周知がほとんどされていなかったりすることから、今後どうなるのかはまだ不透明ではありますが、国の動きには注目しておきたいところです。
マイナ保険証のメリット
マイナ保険証を利用することの主なメリットとしては、以下のことが挙げられます。
・就職、転職、転居をしても健康保険証として使える
・自身の特定健診、薬、医療費の情報が確認できる
・同意すれば医師や薬局に情報を共有できる
・医療費控除が楽になる
・高額療養費制度の対象となる支払いが楽になる
従来の健康保険証は、居住する市区町村や勤務先が変わった際、切り替えを行わなければいけないため、健康保険証が手元にない時期が出てきますが、マイナ保険証はその間も引き続き使用することができます。
また、“マイナポータル”というサイトやアプリのマイページに、過去に受けた特定健診の結果や処方された薬、支払った医療費といった情報が蓄積されるため、自身の健康や受診した医療について、いつでもチェックすることが可能です。
その他、同意をすれば、過去の特定健診や処方された薬の情報を医師や薬局に共有できることもメリットです。
これにより、わざわざ医療機関経由で情報を引き継いでもらう必要がないため、スピーディーかつ正確な診断につながる可能性が高いです。
ちなみに、マイナ保険証であれば、マイナポータルからe-TAXに情報が連携できるため、医療費控除の手続きが楽になりますし、情報共有に同意さえしていれば、新たに手続きをしなくとも、高額療養費制度の限度額を超える医療費に関して、自動的に免除されます。
そのため、医療機関にかかる機会が多い方のメリットは大きく、不慮の事故などが発生した際にも役立つ可能性があります。
マイナ保険証のデメリット
一方で、マイナ保険証にもいくつかのデメリットはあります。
具体的には、以下の通りです。
・利用できる医療機関がまだ少ない
・紛失や個人情報漏えいのリスクがある
2022年中旬時点で、マイナ保険証を利用できる病院やクリニック、薬局は全体の2割程度しかなく、顔認証付きカードリーダーを申し込んだ医療機関に関しても、まだ6割弱しかありません。
そのため、マイナ保険証を利用したい場合であっても、基本的には従来の健康保険証、マイナンバーカードの両方を携帯しておく必要があり、まだまだ使い勝手が良い制度とは言えません。
また、医療機関や薬局が使用するのは、マイナンバーカードのICチップに保存されている電子証明書のデータのみであるため、仮にマイナンバーカードの裏面に記載された12桁の個人番号だけが漏れた場合でも、悪用される危険性は高くありません。
しかし、マイナンバーカードそのものを紛失してしまった場合は、注意が必要です。
マイナンバーカードの4桁の暗証番号も漏れてしまうと、そのカードでマイナポータルにログインし、医療情報だけでなく、納税や所得といった情報まで不正に閲覧することができます。
マイナ保険証の申し込み方法
マイナ保険証の申し込みは、基本的にマイナポータルのアプリで行います。
申し込みをする方のマイナンバーカード、数字4桁の暗証番号、マイナンバーカード読み取り対応のスマートフォンを用意し、手順に従ってスマートフォンもしくはパソコンから申し込みを行います。
また、セブン銀行ATMからでも、マイナ保険証の申し込みが可能です。
ATMの画面に表示された“マイナンバーカードでの手続き”から“健康保険証利用の申し込み”へと進み、画面の案内に従って操作します。
まとめ
ここまで、マイナ保険証の概要やメリット・デメリットなどについて解説しましたが、いかがでしたでしょうか?
マイナ保険証は非常にメリットの大きいものであり、現在は申し込みをすることにより、ポイントがもらえるキャンペーンなども実施されています。
今後、従来の健康保険証からこちらに切り替わることを考えても、早めに申し込みをすることが賢明だと言えます。