なぜ2020年の東京オリンピックは真夏に開催するのか?

時事ネタ

2020年7月、ついに待ちに待った東京オリンピックが開催されます。
ただ、開催まであと1年を切っているにも関わらず、ここにきてマラソンおよび競歩のコースが札幌に変更になるなど、“暑さ”に関する問題点が少しずつ浮彫りになっています。
では、そもそも2020年の東京オリンピックは、なぜ真夏に開催されるのでしょうか?

2020年の東京オリンピックは7月24日~8月9日に開催される

冒頭で少し触れたように、2020年の東京オリンピックは、7月にスタートします。
具体的な開催時期は、7月24日~8月9日です。
また、開催地である東京は、日本の中でも真夏は猛暑になることで有名な場所です。
そのため、選手のことを思うのであれば、比較的涼しい時期に開催する方が良いように思いますよね。
ただ歩いているだけでも熱中症になってしまいかねない時期に、スポーツ競技を実施するとなれば、体調不良を訴える選手が出てくることは、容易に想像がつきます。
もちろん、東京オリンピックの観客や運営スタッフにとっても、東京の猛暑は大きな身体的ダメージを与えることになるでしょう。

2020年の東京オリンピックが真夏に開催される理由は主に2つ

では、ここから本題に入ります。
猛暑が選手や観客、運営スタッフにとって悪影響を与えるものであることは、火を見るより明らかである中で、なぜ東京オリンピックは真夏に開催されるのでしょうか?
その理由は、主に2つあります。
1つずつ解説していきましょう。

2020年の東京オリンピックが真夏に開催される理由①アメリカの意向が強く反映されているため

オリンピックを運営している“ICO(国際オリンピック委員会)”における最大の収入源は、オリンピックの“放映権料”と言われています。
放映権料とは、メディアが独占的に放送できる権利の価格をいい、メディアにはテレビだけでなく、ラジオ、インターネット配信なども含まれます。
そのため、各国のメディアは、放映権を購入しなければ、自国でオリンピックを放送することはできないのですが、この放映権の購入金額が大きければ大きいほど、その国の意向は反映されやすいと言われています。
中でもアメリカは、全放映権料の約半分を支払っており、その意向は特に反映されやすくなっています。
つまり、東京オリンピックが真夏に開催される理由の1つは、アメリカの力が強いため、言い換えれば、“実質アメリカが時期を決めているため”と言えるのです。

2020年の東京オリンピックが真夏に開催される理由②ヨーロッパ、アメリカの都合があるため

ICOにおける収入源である放映権料、スポンサー料は、その多くがヨーロッパ、アメリカの企業から支払われています。
そのため、ヨーロッパやアメリカのスポンサーが、高い費用対効果を生み出すためには、そのエリアに合わせた開催時期を決定する必要があります。
エリアに合わせた開催時期とは、ヨーロッパやアメリカにおいて、オリンピックに注目が集まり、視聴率を獲得しやすい時期のことを指しています。
オリンピックを視聴している方が少なければ、放映権収入もほとんど見込めなくなるためです。
ヨーロッパ、アメリカで行われるサッカーなどの人気スポーツは、7~8月にオフシーズンを迎えます。
逆に、9月や10月に東京オリンピックが開催される場合、アメリカでは、NFL(アメリカンフットボール)のシーズン開幕、MLB(野球)のポストシーズンといった、別の人気スポーツと視聴者を取り合うことになります。
また、ヨーロッパでは、サッカーシーズンの序盤と重なってしまいます。
一方で、7~8月にオリンピックを開催すれば、多くの視聴者を獲得できる可能性が高く、放映権収入も大きくなることが見込めます。
これが、東京オリンピックが真夏に開催される2つ目の理由です。
つまり、人気のスポーツが多く開催されている時期にオリンピックが開催されると、視聴者が減ってしまい、ヨーロッパやアメリカのスポンサーにとって、都合が悪くなってしまうということです。

アメリカの都合、利権が大きく絡んでいる

ここまで目を通していただいた方は、すでにわかっていただいているかと思いますが、オリンピックが真夏に開催される理由には、アメリカの都合、利権が大きく絡んでいます。
また、東京オリンピックが開催される時期だけでなく、“時間”に関しても、アメリカの意向が大きく反映されています。
例えば、マラソンの場合、時期の変更が難しいのであれば、比較的涼しい夜に開催すれば、まだ選手や観客、運営スタッフの負担は減るように感じますよね。
ただ、実際東京オリンピックのマラソンが開催される時間は、スタートから暑さが増してくる午前7時となっています。
なぜかと言うと、日本時間の午前7時にマラソンを開催すれば、アメリカでは午後5時にマラソンを放送することになるためです。
逆に、日本時間の夜にマラソンを開催してしまうと、アメリカでは早朝にマラソンを放送することになります。
つまり、日本時間の夜ではなく、朝にマラソンをスタートさせる方が、アメリカのメディアが視聴率を獲得できるということです。

2020年の東京オリンピック開催時期は変更できないのか?

東京オリンピックの開催時期は、主にアメリカの都合や利権によって決定されていますが、これを日本が変更するということはできません。
なぜかと言うと、オリンピック候補地を募集する時点で、すでに開催時期は決定されているためです。
つまり、日本がオリンピック候補地として名乗りを上げ、開催国になった時点で、日本は真夏に開催されることに納得していることになるということです。
実際、アメリカやヨーロッパにとって都合が悪い10月開催で立候補をしたカタールのドーハは、候補地の1次選考で早々と落選しています。
簡単に言えば、IOCの要望に沿った案を提示している国でなければ、候補地として採用されることはないということですね。

マラソン、競歩の開催地変更の理由と疑問

2019年10月、IOCのトーマス・バッハ会長は、東京で開催されるはずだったマラソン、競歩の会場を、札幌に変更すると発表しました。
これは、直前にカタールのドーハで行われた“世界陸上競技選手権”が、とても過酷な環境で行われ、棄権者が続出したことが理由です。
その時期、ドーハの気温は30度を超えており、湿度も70%前後を記録していました。
ただ、ドーハの環境は、日本の夏と似た気候であり、このような理由でマラソン、競歩のコースを変更することに関して、どれだけの効果があるのかについては、少し疑問が残ります。
もっと言えば、“札幌=涼しい”というイメージが強いかもしれませんが、日本という国自体がそもそも暑く、札幌でも真夏は連日30度以上を記録するケースが多いため、そこをIOCが理解しているのかどうかも微妙なところです。
また、東京では、すでに多額の費用を費やして、マラソン、競歩のコース整備を進めていたため、東京都知事はマラソン、競歩の東京開催を強く訴えましたが、最終的には認めてもらえませんでした。
これは、“会場変更の権限はIOCにある”ということが理由です。
このように、開催国である日本に開催地、会場変更の権限がないにも関わらず、IOCはその権限を持っているというのも、少し疑問が残るシステムだと言えるでしょう。

まとめ

ここまで、2020年の東京オリンピックが真夏に開催される理由を中心に解説しましたが、いかがでしたか?
おそらく、真夏に開催されることに対して、疑問に思っていた方は多いでしょう。
また、理由を聞いても、イマイチ納得できないという方もいるかもしれませんが、オリンピックは巨額の資金が動くビッグイベントのため、資金力が強い国の意見が優先されるのは、致し方ないことだと言えます。

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