“感染拡大防止協力金”について解説します

時事ネタ

全世界で480万人以上が感染した新型コロナウイルスは、当然日本経済に対しても大きな影響を与えています。
特に、個人事業主や中小企業が受けたダメージは計り知れません。
そんな中、各自治体は中小企業等に対する支援制度をいくつも創設しています。
今回は、東京都の“感染拡大防止協力金”について解説しましょう。

感染拡大防止協力金の概要

感染拡大防止協力金は、東京都が支給するもので、都内中小企業および個人事業主を対象としています。
具体的には、新型コロナウイルス感染拡大を防止するための施設の使用停止、営業時間短縮への協力依頼について、休業など全面的に協力する中小企業、個人事業主に対し、協力金を支給するというものです。
支給される金額は50万円で、2事業所以上で休業などを実施する中小企業等に関しては、支給金額が100万円までアップする仕組みになっています。
現在、新型コロナウイルスの影響をまったく受けていない中小企業等はないといっても過言ではありません。
つまり、当制度は、少しでも資金繰りに苦しんでいる中小企業等にとって、利用しない手はない支援制度だと言えるでしょう。

申請要件について

感染拡大防止協力金は、都内中小企業および個人事業主が対象になっているという話をしましたが、利用するにはその他の細かい申請要件もクリアする必要があります。
具体的には以下のとおりです。

①東京都内に主たる事業所、従たる事務所があり、かつ大企業が実質的に経営に参画していない次のいずれかの法人であること
• 中小企業基本法第2条に規定する中小企業または個人事業主
• 特定非営利活動促進法第2条第2項に規定する特定非営利活動法人であり、常時使用する従業員の数が中小企業基本法第2条に規定する中小企業と同規模のもの
• 一般社団法人および一般財団法人に関する法律に規定する一般社団法人または一般財団法人であり、常時使用する従業員の数が中小企業基本法第2条に規定する中小企業と同規模のもの
• 中小企業信用保険法第2条に規定する中小企業者または小規模企業者に該当する組合であり、常時使用する従業員の数が中小企業基本法第2条に規定する中小企業と同規模のもの

②緊急事態措置を実施する前(2020年4月10日以前)から、次のいずれかの対象施設に関して必要な許認可等を取得の上、運営していること
• “基本的に休止を要請する施設”に属し、休止を要請されている施設
• “施設の種別によっては休業を要請する施設”に属し、休止を要請されている施設
• “社会生活を維持する上で必要な施設”のうち、“食事提供施設”に属し、営業時間短縮の協力を要請されている施設

③緊急事態措置のすべての期間(2020年4月11日~2020年5月6日まで)のうち、少なくとも4月16日~5月6日までの期間において、東京都の要請に応じ、休業等を行っていること

このほか、申請する事業者の代表者や役員、その他の従業員などが、東京都暴力団排除条例第2条第2号に規定する暴力団、第3号に規定する暴力団員、第4号に規定する暴力団関係者に該当しないことなども、要件に盛り込まれています。
少しわかりにくいかもしれませんが、要は中小企業または個人事業主で、なおかつ支給の対象施設を以前から運営し、東京都の要請に応えていれば、基本的には利用できる制度だということです。

申請受付期間・申請方法について

感染拡大防止協力金の申請受付期間は、2020年4月22日~同年6月15日までとなっています。
したがって、前述の要件をクリアしている中小企業等は、まだ十分間に合いますので安心してください。
また、申請する際は、事前に東京都内の青色申告会、税理士、公認会計士などの専門家のチェックを受ける必要があります。
なぜなら、専門家が申請要件をクリアしているか、必要書類に不備や記入漏れはないかなどについて申請前にチェックすることで、円滑な申請と支給に繋がるからです。
これまで、アドバイスや指導を受けている前述の専門家がいる場合は、その方に事前確認を依頼するとスムーズですね。
このとき、事前確認にかかる費用については、一定の基準により東京都東京都が負担してくれますので、費用のことはあまり気にせず専門家と協議しましょう。
もちろん、専門家による事前確認がなくても申請することは可能ですが、その場合は追加書類の提出を求められたり、確認のための連絡が来たりすることになるため、支給まで時間がかかるかもしれませんので、注意が必要です。
どうしても専門家に依頼できない事情がある場合以外は、事前確認をした方が良いというわけですね。
ちなみに、申請書類の提出方法には、“オンライン提出”、“郵送”、“持参”の3種類があります。
オンライン提出の場合、感染拡大防止協力金の申し込みサイトから提出することが可能です。
2020年6月15日23時59分までに、送信を完了してください。
一方、郵送の場合は、申請書類を規定の住所に転送することで提出できます。
そして、近くの都税事務所、支所庁舎内に設置した専用ボックスに投函することでも、申請書類の提出が可能であり、これが“持参”による提出です。
必要書類も以下でまとめておきますので、ぜひ参考にしてください。

①感染拡大防止協力金申請書兼事前確認書
申請書の裏面には、先ほど解説した専門家の事前確認欄が設けられています。
したがって、事前確認を受けた場合は、必ず記入してもらいましょう。
また、オンライン提出の場合は、表面および裏面全体をスキャナーまたは写真で取り込み、送信してください。

②誓約書
誓約書の最下部にある所在地、名称、代表者名などの欄は、必ず自署しましょう。
また、オンライン提出の場合は、誓約書全体をスキャナーか写真で取り込み送信します。

③緊急事態措置以前から営業活動をしていたことがわかる書類
これは、具体的には“営業活動を行っていることがわかる書類(確定申告書の控えなど)”、“業種に係る営業に必要な許可をすべて取得していることがわかる書類”、“本人確認書類(運転免許証、パスポートなど)”のすべてが必要になります。
上記のうち1点でも欠けていると、必要書類としては認められないため、注意しましょう。
ちなみに、すべて原本ではなく写しで大丈夫です。

④休業等の状況がわかる書類
具体的には、休業を告知するHP、店頭ポスター、チラシ、DMなどが該当します(写しで可)。
複数の施設が混在している場合、対象の施設部分が休業等を確実に実施していることがわかる書類を用意してください。

その他の注意点などについて

当然のことですが、感染拡大防止協力金を利用する中小企業等は、必ず申請要件をクリアしていなければいけません。
もし、申請者に何かしらの不正等が発覚した場合は支給が取り消されるため、注意しましょう。
また、支給が取り消されるだけでなく、申請者の方は協力金の返金とともに、協力金と同額の違約金を支払わなければいけなくなります。
ちなみに、当制度の申請者については、東京都からの要請に対して協力を表明した事業者として、当制度のポータルサイトにおいて、対象施設等(屋号等)が紹介されます。

まとめ

感染拡大防止協力金は、その名の通り新型コロナウイルスの感染拡大防止に協力した中小企業等が利用できる支援制度です。
もちろん、すべての中小企業等が利用できるわけではありませんが、人員削減や倒産など、企業にとって良くない決断をしなければいけない状況に追い込まれている場合は、利用できるかどうかだけでも確認することをおすすめします。

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