ペイパービューとは?~ペイパービューの功罪~

時事ネタ

近年、番組は地上波放送やDVD、ブルーレイなどで観賞する時代から、ネットを利用した動画視聴サービスで観賞する時代へと変わりつつあります。
また、そんな動画視聴サービスにおける形式の1つに“ペイパービュー”が挙げられます。
ここからは、ペイパービューの概要やメリット・デメリット、功罪などについて解説します。

ペイパービューの概要

ペイパービュー(Pay-Per-View)は、CSや衛生放送、インターネットなどを通じた動画配信サービスで用いられる課金システムです。
番組や作品の1本1本に価格が設定され、利用者が閲覧するたびにその料金が課金されます。
月額固定の料金内で観賞できるサブスクリプション方式とは一線を画すものであり、放送されるジャンルに関してはスポーツ、映画、音楽、アニメなど多岐に渡ります。
ちなみに、類似する課金システムとしては、1日単位で課金するペイパーデイ(Pay-Per-Day)や、一連の番組群をセットにしたペイパーシリーズ(Pay-Per-Series)などがあります。

ペイパービューのメリット

ペイパービューを利用することのメリットは、なんといっても閲覧した作品分の料金しかかからないという点です。
サブスクリプション方式の場合、時間に余裕があり、多くの動画を閲覧した月と、忙しくあまり動画を閲覧できなかった月は同じ料金が課金されますが、ペイパービューではそのようなことがありません。
また、定額のサブスクリプション方式よりも新作に強いというところもメリットです。

ペイパービューのデメリット

ペイパービューは、自身が興味のある動画のみを格安で購入できるというメリットがありますが、動画1本ごとに課金するシステムであるため、閲覧数が多ければ多いほど、DVDやサブスクリプション方式に比べて料金が高くなります。
また、常に料金が一定ではないことから、ある程度料金のことを気にしながら、閲覧するかどうか判断しなければいけないというデメリットもあります。

ペイパービューでの放送が多いジャンル

ペイパービューで放送される番組は、スポーツ、映画、音楽、アニメなど多岐に渡るという話をしましたが、中でも特に多いのが格闘技です。
アメリカでは、UFC、ボクシング、WWEという3つの格闘技で、ペイパービュー全体総売上の大半を占めています。
特に、ボクシングの試合に関しては、通常CS局で放送されていますが、相当な人気ボクサーになると試合がペイパービューで放送されるようになります。
そのため、ペイパービューで試合が流れることは、ボクサーにとって1つのステータスとなっています。
ちなみに、日本では格闘技の試合を地上波で観るのが一般的であるため、こちらの方法が定着するかどうかは微妙な状況だと考えられています。
そんな中、大きな注目を集めたのが、今年6月に行われたTHE MATCH 2022のメインマッチ、那須川天心VS武尊の一戦です。
これまで、那須川天心の試合は地上波(フジテレビ)で放送されていましたが、こちらの試合は契約合意に至らず、abemaがペイパービューによる独占生中継を行うことになりました。
そのため、那須川天心VS武尊の一戦に関しては、試合を視聴したい方のみがチケットを購入することで、観戦できるという形式になっています。

ペイパービューの功罪

前述の通り、ペイパービューは格闘技の試合で採用されることが多いシステムですが、これまで地上波で放送されていた試合がペイパービューに移行することにより、良くも悪くもさまざまな変化が起こっています。
まず、良い点についてですが、こちらは試合を行う選手のファイトマネーに、ペイパービューの収益の一部を上乗せできるという点が挙げられます。
人気と実力の高い選手の試合ほど、多くの視聴者がペイパービューのチケットを購入するため、その分獲得できる利益は多くなるという仕組みです。
特に、日本の格闘技におけるファイトマネーは、海外と比べてそれほど高額ではないため、こちらは格闘技業界発展のためにも、非常に重要なことだと言えます。
しかし、すべての格闘技がペイパービューに移行することで、新規のファンを獲得しにくくなることが懸念されています。
ペイパービューに課金してまでその選手の試合を見たい方の多くは、元々熱狂的なファンである可能性が高く、「できれば観たい」といった程度の感覚を持つ方にとっては、あまり好ましいシステムではないと言えます。
また、格闘技に憧れを持っている子どもなどは、どうしても自分自身の意思ではペイパービューの観戦が難しく、このような現状に対し、ネット上では「子どもに夢を見せることができない国になる」「選手のモチベーションを下げる行為」といった批判も出ています。

まとめ

ここまで、ペイパービューの概要や利用するメリット・デメリット、格闘技業界における功罪について解説してきました。
ペイパービューは、利用者のメリット・デメリットもさることながら、格闘技業界においては、選手やそのファンにとってのメリット・デメリットも議論されることが多いです。
そのため、注目度の高いコンテンツがすべて地上波からペイパービューに移行するまでには、まだ少し時間を要することが予想されます。

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