皆さんが毎月当たり前のように支払っている電気代ですが、こちらには“再エネ賦課金”というものが含まれていることをご存知でしょうか?
近年、こちらの金額はじわじわと上昇していて、理不尽な制度であることが問題視されています。
ここからは、再エネ賦課金の概要、理不尽と評される理由などについて解説します。
再エネ賦課金の概要
再エネ賦課金は、正式名称を再生可能エネルギー発電促進賦課金というものであり、再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度(FIT法)の中で作られた制度です。
FIT法とは、再生可能エネルギー(太陽光、風力、水力、地熱、バイオマスなど)で発電された電気について、電力会社が一定期間、一定価格で買い取る制度をいい、こちらにかかるコストについて、電気を使用する方から幅広く集めようという発想で設けられたのが、再エネ賦課金です。
つまり、毎月の電気代から差し引かれている再エネ賦課金は、再生可能エネルギーによって発電された電力を買い取る際の費用に充てられているということです。
再エネ賦課金が理不尽と評される理由
再エネ賦課金が理不尽と評される理由はいくつかあります。
まず1つ目に、毎月の電気代から差し引かれていることを認識している方が少ないということが挙げられます。
言い方を変えると、多くの方が知らない間に支払わされているということです。
また、理不尽と評される2つ目の理由としては、冒頭でも触れたように、年々その金額が高くなっていることが挙げられます。
2012年の時点で、再エネ賦課金は1kWhあたり0.22円加算されていました。
こちらは、一般家庭の月額に換算すると50~60円程度、年間でも700円程度であり、そこまで気になるほどの金額ではありませんでした。
しかし、2021年には、こちらの金額が1kWhあたり3.36円まで上昇しています。
2012年と比較すると、およそ15倍にまで膨れ上がっていて、月額に換算すると800円程度、年間では1万円前後も支払っていることになります。
そして、再エネ賦課金が理不尽とされる3つ目の理由ですが、こちらは最大の理由と言っても過言ではありません。
それは、太陽光発電が急激に増えたことにより、金額が上昇しているということです。
近年、オール電化住宅への転換に伴い、太陽光発電を採用する住宅は増加していて、工場やビルの屋根、山中の広い土地などに設置する企業も、以前より増えてきました。
これらの太陽光発電の中には売電が目的のものもあり、結果として電力買い取りは予想以上に増加し、再エネ賦課金はどんどん金額を上昇させていくことになりました。
要するに、太陽光発電における電力は、国や電力会社が買い取っているような構造に見せて、実は電気代を支払う消費者が負担しているということです。
ちなみに、太陽光発電を設置した消費者であれば得をするのかというと、決してそのようなことはありません。
太陽光発電を利用する世帯も利用しない世帯も、毎月の電気代から再エネ賦課金が差し引かれるのは同じであり、こちらが経済的な負担につながりかねないことも共通しています。
再エネ賦課金値上げの対策について
再エネ賦課金は、全世帯で一定の金額が差し引かれていますが、電力会社を乗り換えることで、1kWhあたりの電気代は安くなります。
いわゆる新電力会社と呼ばれる新規参入事業のプランは、既存の電力会社よりも安く設定されていることが多く、電気代そのものを安くすることで、実質再エネ賦課金の負担は減らすことが可能です。
その他、家庭用の大型蓄電池を使用し、電力をお得にコントロールすることも、再エネ賦課金値上げの対策だと言えます。
具体的には、夜間のお得な電力で充電を行い、日中や夕方といった電気代の高い時間については、蓄電池の電力でまかなうという方法です。
家庭用蓄電池は、エアコンやIHクッキングヒーターなども問題なく稼働させることができるため、普段通りの生活を送りながら電気代の節約が期待できます。
再エネ賦課金の徴収はいつまで続くのか?
再エネ賦課金の徴収が今後いつまで継続するのかについて、国からの正式なアナウンスはありません。
ただし、再エネ賦課金は、前述の通りFIT法と密接な関わりがあるため、最低でもこちらの制度が終了するまでは、継続して徴収される見込みです。
例えば、家庭用太陽光発電は10年間、事業用の場合は20年間の買い取り期間が保証されているため、こちらの仕組みが変更にならない限り、再エネ賦課金は2040年まで頃まで続きます。
ちなみに、環境省では、「2050年頃にはゼロになる」と予想されていますが、現在の再エネ賦課金の上昇率からすると、2050年よりは早い段階でゼロになる可能性が高いです。
まとめ
ここまで、消費者にとって理不尽な点が多い再エネ賦課金について解説しましたが、いかがでしたでしょうか?
再エネ賦課金は、今後もしばらくの間一般家庭から徴収され、太陽光発電を導入する、しないに関わらず、大きな負担としてのしかかります。
そのため、本記事で触れた方法などを活用し、できる限り電気代を節約し、再エネ賦課金による負担を減らすことをおすすめします。