“東京五輪汚職問題”とは?

時事ネタ

2021年に実施された東京オリンピック、パラリンピックにおいて、汚職があったことが次々と明るみになっています。

汚職は自身の職権を利用し、賄賂を受け取るなどの不正な行いであり、決して許されるものではありません。

今回は、東京五輪汚職問題の概要やポイントを中心に解説します。

東京五輪汚職問題の概要

東京五輪汚職問題は、東京オリンピック、パラリンピックのスポンサー選定を巡って発生した汚職事件です。

大会のスポンサーを選定していたのは、オリンピック組織委員会であり、実際にスポンサーを獲得する業務に関しては、大手広告会社の電通に委託されていました。

つまり、電通が窓口となり、スポンサーになってもらうための交渉を企業と行っていたということです。

しかし、ある日オリンピック組織委員会の元理事で、電通出身の高橋治之氏が逮捕されました。

高橋氏は、自らが経営するコンサルタント会社や知人の企業を通じ、紳士服大手のAOKIホールディングス、出版大手のKADOKAWAから、スポンサー選定などで便宜を図ったことへの謝礼などとして、多額の賄賂を受け取っていたことがわかっています。

さらに、広告会社の大広からも、スポンサー契約業務を請け負えるよう便宜を図ったことへの謝礼として、賄賂を受け取っていました。

ちなみに、これらの賄賂は、合計で1億4,000万円にも上るとされています。

AOKI、KADOKAWA、大広の行動

紳士服大手であるAOKIの元会長らは、高橋氏が経営していた企業に対し、毎月50~100万円を5年間、総額で約5,100万円も支払っていました。

こちらの行動により、東京オリンピックのスポンサーに選出されただけでなく、本来15億円かかるスポンサー料を半額の7億5,000万円にまで減額してもらっています。

また、出版大手のKADOKAWAは、コンサルタント会社コモンズ2の代表である深見和政氏に約7,600万円を支払ったとされています。
こちらの理由としては、深見氏が高橋氏の電通時代の後輩であり、東京オリンピックのスポンサー選定で有利になるように働きかけたことが挙げられます。

そして、このとき深見氏が受け取った賄賂に関しては、高橋氏にも流れていました。

最後に大広ですが、こちらが支払った1,500万円の謝礼に関しても、深見氏のコモンズ2を経由し、高橋氏の手に渡ったとされています。

ちなみに、上記の行動に関しKADOKAWAは、「賄賂を渡した認識はない」「スポーツ事業全般のコンサルタント料だった」と、あくまで健全な金銭の授受であったことを主張しています。

汚職を通じて問われていること

賄賂を支払った側の企業には、高橋氏に仲介を依頼することにより、大会のスポンサーに抜擢されたり、協賛金の額を抑えることができたりといったメリットがありました。

一方、オリンピック組織委員会にもまた、高橋氏がスポンサーを見つけてきてくれることで、収入を増やすことができたと見られます。

しかし、オリンピックやパラリンピックには、巨額の税金が投入されています。

そのため、より高い公益性、透明性が求められますが、今回の汚職事件はそれに相反するものだと言えます。

実際、本事件が明るみになったことに対し、スポンサー契約に携わっていた電通の現役社員は、「コンプライアンスを重視しながらスポンサー集めに奔走していたのに、このような事件が起きて腹立たしい」という憤りの声を上げています。

また、オリンピック組織委員会のチェック体制、ガバナンスに不十分な点があったとも考えられていますが、組織委員会は今年6月にすでに解散していることから、検証は行われないことになっています。

札幌市が、2030年の冬季大会における招致活動を行う中、どのように透明性を高め、どのように汚職事件の再発を防止するのかについては、改めて議論する必要があると言えます。

東京五輪汚職問題と安倍元総理の関係性

東京五輪汚職問題では、賄賂を受け取った高橋治之氏、深見和政氏だけでなく、賄賂を渡したAOKIホールディングスの前会長・青木拡憲氏、元代表取締役副会長・青木宝久氏、専務執行役員の上田雄久氏、KADOKAWAの元専務・芳原世幸氏、元五輪担当室長の馬庭教二氏、会長の角川歴彦氏と、次々に逮捕者が出ています。

また、関係者の逮捕が相次いでいるのは、安倍元総理が亡くなったことが影響しているとされています。

一部の報道では、安倍元総理は東京五輪汚職問題について、裏で不正を隠していたとされています。

つまり、安倍総理が亡くなったことで、不正を隠せる人物がいなくなり、東京五輪汚職問題が明るみなったということです。

ちなみに、これだけ収賄に関わった人物や企業が特定されているものの、これらは氷山の一角だという見解が多く、今後もさらに逮捕者が出ることが予想されています。

まとめ

ここまで、東京五輪汚職問題の概要やポイントなどについて解説しましたが、いかがでしたでしょうか?

本来、オリンピックやパラリンピックは、純粋に国民がスポーツを楽しむことができる、クリーンなイベントでなければいけません。

また、そのためには、東京五輪汚職問題の全貌を明らかにした上で、組織委員会を中心に、具体的な対策を講じる必要があります。

タイトルとURLをコピーしました