そもそもトリガー条項とは??

時事ネタ

近年、ガソリン価格の高騰が家計に大きなダメージを与えています。
灯油も高騰しているため、冬を迎える中でさらに大きな影響が出るでしょう。
ガソリン等が高騰する中で注目されているのが、トリガー条項です。
既に有名無実となりつつあるトリガー条項とは何なのか、今一度確認してみましょう。

トリガー条項とは?

日本の代表的な国民の足である車は、近年電気自動車などが普及しつつあるものの、まだまだハイブリッド車を含むガソリン車が主流です。
車を動かすためには、当然ながらガソリンが必要となるでしょう。

しかし、ガソリン価格は近年類を見ないほど高騰しつつあります。
ガソリン価格が過去30年間で最も安かったのが1999年で、レギュラー1リットル当たり100円を切っていました。

以降はガソリン価格が高騰を続け、2008年には182円になった時期もありました。
しかし、リーマンショックの影響で原油価格が暴落し、ガソリン価格も100円後半にまで落ち込みます。

以降は、米国原油輸出の解禁やコロナショックなどで落ち込むことはあったものの上昇傾向にあり、2023年7月に160円を超え、8月には172円まで上がります。
以降も160~170円の間を上下し、11月時点でレギュラー価格は5カ月連続で160円を超えています。

160円を超えていることで思い出されるのが、トリガー条項です。
トリガー条項は、2010年の租税特別措置法の改正で設けられました。
トリガー条項のトリガーとは拳銃のトリガー(引き金)のことで、一定条件で効果を発揮する法律の規定です。

トリガー条項は、ガソリン価格が3カ月連続で160円を超えた場合にガソリン税を本則税率だけにするという規定ですが、2011年3月に東日本大震災が発生した際、復興財源の確保のためにトリガー条項が凍結されてしまいました。

以降も、法改正にかかる時間やガソリンの買い控え、流通の混乱、さらには税収減の補填といった理由から、トリガー条項の発動を見送り続けています。
設けられたのが民主党の鳩山由紀夫内閣の頃だったこともあり、現在の政府はまず発動させる気がないと見做されても仕方がないでしょう。

ガソリン価格とトリガー条項の仕組み

ガソリン価格は、本体価格にガソリン税と石油税、消費税が加算されています。
ガソリン税には、国が徴収する揮発油税と、地方自治体が徴収する地方揮発油税に分けられます。

ガソリン1リットル当たりに、ガソリン税は53.8円、石油税は石油石炭税と温暖化対策税の合計2.8円が加算されているため、合計で56.6円が加算され、さらに本体との合計額に10%の消費税が加算されています。

しかし、ガソリン税というのは本来、約半分の28.7円しか加算されないのです。
なぜ53.8円になっているのかというと、実際のガソリン税に特例税率が加算されているせいです。

特例税率というのは、1974年に道路整備計画の財源不足に対応するために定められた暫定措置で、1リットル当たり計25.1円の特例税率が加算されています。
本則税率と特例税率を合計して、現在の53.8円が加算されているのです。

トリガー条項は、暫定税率が特例税率として期限がないものとなった際に定められたもので、条件を満たした際に特例税率の適用を停止させるというものです。
しかし、現在もなお適用される様子がありません。

立憲民主党では、2023年8月にトリガー条項の凍結解除を経済産業省に要請しています。
しかし、政府と与党はガソリンの元売り業者への補助金の上限を拡大して価格を引き下げる方針であり、トリガー条項の凍結解除には至らないでしょう。

まとめ

ガソリン価格の高騰が続く中、ガソリン税の税率は変化がありません。
1974年に設けられた暫定税率が2010年に特例税率となった際に制定されたトリガー条項は、ガソリン代高騰が続いた時に特例税率を停止するというものですが、東日本大震災の発生時に凍結されたまま一度も発動したことがありません。
ガソリン税の高騰は、企業の経営、国民の家計に大きなダメージを与えています。
トリガー条項の意味を、もう一度考え直すべきでしょう。

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