れいわ新選組は、2019年4月、元俳優で当時参院議員だった山本太郎氏が設立した政党です。
また、こちらのれいわ新選組が新たに発表した“参院議員ローテーション”という制度が、現在大きな話題となっています。
今回は、こちらの制度の詳細を中心に解説したいと思います。
れいわ新選組の沿革、特徴
2019年4月、山本太郎氏によって旗揚げされたれいわ新選組は、同年7月の第25回参議院議員選挙比例区で得票率2%を上回り、設立から約3ヶ月半で公職選挙法が規定する政党要件を満たしました。
党名に関しては、新元号として令和が発表された日に届け出たこと、幕末に活動した新選組に由来しています。
また、政策としては、消費税の廃止を全面に押し出していて、法人税への累進制導入および財政出動をあわせて訴えています。
その他にも、最低賃金1,500円(政府の補償付き)、奨学金チャラ、ガソリン税ゼロ、季節ごとの10万円給付など、キャッチーな政策を次々と掲げています。
れいわ新選組の参院議員ローテーションとは?
2022年7月、参院選で初当選した水道橋博士氏の議員辞職に伴い、れいわ新選組の山本代表は、2023年1月に行われた国会内での記者会見において「実験的な試み」として、繰り上げ当選した議員が1年ごとに議員辞職を繰り返す案を示しました。
こちらが参院議員ローテーションであり、山本代表は“れいわローテーション”と名付けています。
山本代表によると、同党の大島九州男氏が最初に繰り上げ当選する見通しであり、その後は得票数の多かった順に長谷川羽衣子、辻恵、蓮池透、依田花蓮の各氏が交代で務めるとのことです。
参院議員ローテーションに対する有識者の批判
れいわ新選組の参院議員ローテーションについては、憲法上問題ないものではあるものの、有識者や政界から批判の声が相次いでいます。
自民党の世耕弘成参院幹事長は、こちらの制度について「憲法の趣旨に合致しない」と批判し、立憲民主党の岡田克也幹事長も「良いことではない」とコメントしています。
また、立命館大の小松浩教教授は、「公選法に禁止規定がなく、違法ではないが、選挙制度の趣旨には反する」と指摘しています。
比例代表は、政党名と個人名の得票総数で各政党の獲得議席を決定し、後は個人名の得票数順に当選させる非拘束名簿式という仕組みが原則です。
そのため、政党の勝手な判断で議員を交代させるのは、個人名を書いた有権者の意思を無視することにもなります。
SNS上の反応
れいわ新選組の参院議員ローテーションに対しては、SNS上でも賛否の声が上がっています。
特に多かったのは、やはり比例代表制についての疑問の声や、歳費に対しての費用対効果などについて懸念する意見です。
具体的には「1年交代で、議員として質の高い仕事ができるのだろうか」「ローテーションと気軽に言うが、議員が入れ替わることで増える歳費に見合うだけの効果があるのか」「このようなことをすると比例代表制に改正廃止必要論が出る」といった内容です。
一方で、「人を大事に活用しようと試みる名案」「比例区は人ではなく党で獲った議席という性質が強いのでアリ」「国政に新風を吹き込み、市民と政治をつなぐ妙手」など、肯定的な意見も見られました。
れいわ新選組の反論
れいわ新選組の山本代表は、同党が打ち出した参院議員ローテーションに上記のような批判が集まっていることに関し、「憲法に議員が任期の6年間、最後まで務めないとダメとは書かれていない」という主張を展開しました。
また、与野党から憲法や法律の趣旨に反するとして批判が出ていることについては、「法の抜け穴と言われるのなら、法律を変えれば良い」「それが必要だと思うなら、それをやるべき」と反論しています。
続けて、「さまざまな憲法違反を行い続けている自民党から憲法違反だ、と言われると感慨深い」「“歩く憲法違反”みたいな人にチャンピオンベルトを巻いてもらった感じ」と独特な表現で自民党を批判しました。
参院議員ローテーションは何が問題だったのか?
れいわ新選組の参院議員ローテーションは、制度そのものが批判されている点に注目しがちですが、それよりも大きな問題点として挙げられるのは、参院選時点でローテーションを採用することを公表していなかったことです。
つまり、選挙後のルール変更だということです。
これを乗り越え、参院議員ローテーションを成功させるためには、残り任期を1人で担うはずだった大島九州男氏と、大島氏に投票した28,123人の理解、共感が必要です。
また、有権者たちの理解と共感を得るには、参院議員ローテーションを今回限りの措置とせず、今後の比例をすべてローテーションにし、チーム型国会議員を生み出す姿勢を打ち出すといった、強気な姿勢が求められます。
まとめ
ここまで、方々で話題になっている、れいわ新選組の参院議員ローテーションについて解説しましたが、いかがでしたでしょうか?
参院議員ローテーションは、まだまだ課題の多い制度です。
しかし、新しい試みに課題や問題、失敗や批判は付き物であり、今後こちらの制度がどのように始動するのか、政界や有権者にどのような影響を及ぼすのかについては、蓋を開けるまで誰にもわかりません。