“Colabo問題”は、昨年末からネット上では大きな騒ぎとなっていた問題です。
こちらは、ある法人における不適切な会計処理疑惑であり、話が複雑化していることから、最近はメディアでも注目を集めています。
今回は、こちらのColabo問題における概要や問題点などについて、詳しく解説していきたいと思います。
一般社団法人Colaboについて
今回解説するColabo問題の“Colabo”とは、一般社団法人Colabo(コラボ)のことを指しています。
Colaboは、主に少女の自立支援を行っている法人であり、女子高生サポートセンターである”Colabo”を開設し、若者と社会をつなぐきっかけの場づくり事業を展開しています。
困難を抱える女子中高生らに対し、SNSなどを通じた相談、衣食住に不自由する状態の少女への食事や物品提供、東京の渋谷や新宿に移動バスを出し、10代少女の居場所をつくる“Tsubomi Cafe”などのアウトリーチ事業を中心に行っています。
明治学院大学の大学生であった仁藤夢乃氏らが、2011年に立ち上げた学生団体を母体としていて、仁藤氏は現在Colaboの代表理事を務めています。
Colabo問題とは?
昨年11月、仁藤氏の率いるColaboが不当な会計をしていたとして、Twitter上で“暇空茜”と名乗る男性が、東京都が2021年度に支出した委託料2,600万円について住宅監査請求を行いました。
事の発端は、暇空茜氏が仁藤氏のTwitterにおける投稿内容に反論したことです。
仁藤氏は、日本全国の温泉をモチーフにしたキャラクターが、全国の温泉地を盛り上げるプロジェクトである“温泉むすめ”に対し、「これを選んだり眺めたりして他の住むことを国が推奨して、税金が使われている地獄」などとTwitterで批判しました。
これの投稿に対し、温泉むすめのファンであった暇空茜氏は激怒し、Colaboと仁藤氏について調べたことで、会計に不正があることが発覚したと訴えます。
これらの一連の流れや事件を総称してColabo問題と呼んでいます。
暇空茜氏が指摘するColaboの会計における問題点
暇空茜氏は、Colaboにおける2020年と2021年の活動報告費の疑問点をnoteに投稿しています。
その内容は、人件費(仁藤氏の給与)が1年で1.5倍になっている点、人件費として謎の1億円が積み立てられている点、2022年までずっと2種の職種だけを求人しているが、受託事業が売上倍増するくらい拡大できているにもかかわらず、その事業に関する求人がなかった点などを指摘するものです。
その他、以下のような不正会計や不正受給があるのではないかとも言及されています。
・給食費の経費と提供数の差異
・生活保護の不正受給
・ホテル宿泊費の過大請求
・医療費の不正会計
仁藤氏の動きと住民監査請求の結果
仁藤氏は「デマや誹謗中傷を行っている」として、暇空茜氏を提訴しました。
また、“東京都に対する住民監査請求の結果に関する一部情報について”という声明を公表し、「従来から申し上げているとおり、Colaboは不正な公金利用(当該事業と無関係な目的への支出や私的流用、虚偽請求など)は一切行っていません」と主張しています。
そして、昨年12月28日には、住宅監査請求の結果が出され、今年の1月4日に東京都から正式発表されました。
その内容は、Colaboの会計報告について、不正を私的する監査請求の主張について、多くが「妥当ではない」と退ける一方で、領収書がない経費が計上され、領収書があっても疑義があるケースが確認されるなど、「本件精算には不当な点が認められ、本件請求には理由がある」というもので、都監査委は都に対し、2月28日までに再調査などを指示しました。
つまり、すべてではないものの、暇空茜氏の指摘の一部は認められたと言えます。
Colaboに対する世間の声や国の課題
住宅監査請求の結果が公表された今年の1月4日には、“Colabo問題”がTwitterでトレンド入りしました。
昨年末から、多くのYouTuberがこぞってこの問題の経緯を動画に上げ、ネット上は一種のお祭り状態にありましたが、ここにきてようやく大手メディアでも報道され始めました。
Colaboに対するネット上や世間の疑惑は、「女性などの弱者救済を理由に、税金が不適切な使われ方をしているのではないか」ということに集約されます。
都監査委が再調査を求めた以上、このように非難されることは致し方ないと言えます。
また、Colabo問題と同時に見直しが求められているのは、国の対応です。
昨年5月、国は“困難な問題を抱える女性への支援に関する法律(通称:困難女性支援法)”を成立させました。
こちらの法律における趣旨自体は非常に良いものですが、これがいわゆる弱者ビジネスを助長させる仕組みにしてはいけません。
その一歩として、有識者会議の建て付けを全面的に見直し、メンバーも入れ替え、困難女性支援法の乱用を防ぐ会議とすることなども意見として挙がっています。
まとめ
ここまで、Colabo問題における概要や問題点などについて解説しましたが、いかがでしたでしょうか?
仁藤氏は「Colaboの会計に一切やましいことはない」という主張を貫いていますが、会計などに関する再調査が行われる以上、こちらの問題はお世辞にも解決したとは言えません。
今後、新事実が明らかになることがあれば、議論はさらに加熱することが予測されます。