日本の安全を守る警察官になるためには、必ず“警察学校”に入校しなければいけません。
また、警察学校という名前を聞いたことがある方は多いものの、どのような場所なのか、何を学ぶのかといった細かいことについては、あまり知られていません。
今回は、警察学校の詳細について解説したいと思います。
警察学校の概要
警察学校は、警察官の教育訓練を行う機関です。
学校という名称が付いていますが、小学校や中学校のような学校教育法に定められた学校ではなく、警察組織内の施設として存在しています。
警察官は、採用試験に合格した後、まずこちらの警察学校で初任教育を受けることになります。
また、警察学校は全寮制であり、自宅が近くにあったとしても、在籍中は必ず寮で生活を送ります。
寮にはコミュニティスペースや談話室、自習室、シャワールームなどがあり、警察官としての基礎を勉強しながら、同期生との絆を深めていく目的を持っています。
警察学校で学ぶこと
警察学校では、警察官としての任務を行うための職業訓練を行います。
形式的には通常の学校と同じく、1日5時限の時間割が組まれています。
科目は大きく以下の3つに分けられます。
・実務(警察官として現場で執行する実務科目)
・術科(警察官として必要な体力、精神力を錬成するための科目)
・法学(犯罪を取り締まるために必要な法律の知識を得るための科目)
実務には、地域警察や刑事警察、交通警察などの科目が該当し、術科には点検や礼式、柔道や剣道、拳銃の座学、実技といった科目があります。
また、法学では、刑法や刑事訴訟法、憲法や警察法といった法律について学びます。
ちなみに、施設見学や交番実習、ボランティア活動など、校外で行われる授業もあります。
警察学校への入校時期
警察学校への入校時期は、4月、10月など複数存在します。
また、特に警視庁は多くの人員を採用する関係から、他の警察学校よりも多くの入校日を設けています。
具体的には、採用枠が大きいことから、年間採用人数を10くらいのグループに分け、それぞれのグループのタイミングをずらして警察学校に入校させています。
こうすることにより、警察学校のキャパシティを超えることがないようにしています。
警察学校で学ぶ期間
警察学校では、基本的に採用年度の4月から、高等学校、短期大学卒業相当で10ヶ月、大学卒業相当で6ヶ月学びます。
一日の基本的なスケジュールは、以下のようになっています。
・6時半:起床
・6時40分:点呼、清掃
・7時20分:朝食
・8時50分:午前中の授業
・11時45分:昼食
・12時45分:午後の授業
・16時:特別活動
・17時:入浴、夕食、自習時間
・22時:点呼
・23時:消灯
ちなみに、初任過程を終えると、職場実習として3ヶ月間、警察署に配属されます。
こちらは、学んできたことを実際の職場で実践できるかという自己確認の他、実際の現場で必要な知識、技術を実感する機会となります。
また、職場実習を終えると再び警察学校に入校し、初任補修として高等学校、短期大学卒業相当で3ヶ月、大学卒業相当で2ヶ月、警察官としてのより高度な知識と技術を学びます。
その後、無事に初任補修を終了すると、再び警察署に配属され、高校、短大卒業相当で5ヶ月、大学卒業相当で4ヶ月の実践実習を行います。
つまり、警察官として採用されてから、実際にひとり立ちするまでには、高校、短大卒業相当で21ヶ月、大学卒業相当で15ヶ月にわたり、勉学に勤しむ必要があるということです。
警察学校での収入
警察学校に所属する場合、身分としては学生ですが、警察官として地方公務員法に則った給与が支給されます。
つまり、勉強をしながら収入を得ることができるということです。
金額については、高卒、短大卒で17~19万円程度、大卒で20~23万円程度が相場です。
また、ボーナスも支給され、こちらの金額は概ね1ヶ月分の給与と同等です。
ちなみに、警察学校の授業は平日のみで、土日祝は休日です。
警察学校は厳しいのか?
前述の通り、警察学校は全寮制であり、決められた時間に沿った規則正しい生活をしなければいけません。
初対面の人と同じ屋根の下で一日中を過ごすことになり、自身の時間を確保するのはなかなか難しいため、環境に慣れるまではストレスを感じる方も多いようです。
しかし、まったく自由時間がないというわけではありませんし、授業が終わった後はスマホなども使用することができます。
また、訓練中は規律正しい行動が求められるため、辛く感じることもあるかもしれませんが、警察学校の訓練は警察官になるための知識づけ、体力や精神力を養うものであり、理由なく厳しいわけではないため、辛さを感じても意味のあるものだと納得できるでしょう。
まとめ
ここまで、知られざる警察学校の詳細について解説しましたが、いかがでしたでしょうか?
警察学校は、警察官に必要な基本的な知識、技能、体力を身に付けるためには必要不可欠な施設であり、こうしている今も数多くの人材を育成しています。
また、こちらで心身ともに鍛えられた警察官の方が、日々私たちの生活における安全を守ってくれています。