日本時間の3月22日、アメリカのマイアミ(ローンデポ・パーク)でWBCの決勝戦が行われ、日本が前回王者のアメリカを3-2で下し、3大会ぶり3度目の優勝を果たしました。
今回は、日本がこのような素晴らしい成績を収めた主な理由について、さまざまな角度から解説したいと思います。
2023年WBCにおける日本代表の軌跡
日本はWBC初戦、大谷翔平選手が投打の二刀流として出場し、中国を8-1で破る快勝からスタートしました。
続く2戦目の宿敵・韓国戦では、ダルビッシュ有投手が先制を許すも、その裏の攻撃にラーズ・ヌートバー選手のタイムリーヒットなどで一挙に4点を挙げ、終わってみれば13得点で大勝しています。
3戦目のチェコ戦も10-2、4戦目のオーストラリア戦も7-1と投打で圧倒した日本代表は、見事グループリーグ1位で準々決勝進出を決めました。
準々決勝のイタリア戦では、大谷選手、ダルビッシュ投手ら5人の贅沢なリレーで3失点に抑え、9-3で勝利し、アメリカで行われる準決勝に駒を進めています。
今大会のベストバウトとの呼び声も高い準決勝のメキシコ戦では、これまで不振に苦しんでいた村上宗隆選手が逆転サヨナラタイムリーを放ち、見事決勝戦に進出します。
そして、ついに迎えた前回王者・アメリカとの決勝戦では、先発の今永昇太投手が先制を許すも、村上選手、岡本和真選手のホームランなどで逆転し、最後は大谷選手がアメリカの主砲であるマイク・トラウト選手を空振り三振に仕留め、見事優勝を果たしました。
このように、日本は今大会、7戦全勝での優勝を飾っていて、こちらは過去2回の優勝時も成し得なかった快挙です。
日本がWBCで優勝できた理由
日本がWBCで優勝できた理由はさまざまですが、特筆すべき理由としては以下のことが挙げられます。
・投手陣の安定感
・バランスの良い野手陣の活躍
・ラーズ・ヌートバー選手の存在
・栗山監督の選手起用
投手陣の安定感
今回のWBCにおいて、日本代表の投手陣は抜群の安定感を誇っていました。
7試合のチーム防御率は2.29で、こちらは1試合に2点弱しか失点しないということを意味しています。
ダルビッシュ投手は決して本調子ではありませんでしたが、チーム最年長として各投手にさまざまなアドバイスを送り、大谷選手、山本由伸投手、佐々木朗希投手といった先発投手は、しっかりと試合を作っています。
また、大勢投手や湯浅京己投手、伊藤大海投手や髙橋宏斗投手など、若いリリーフ陣の躍動も目立ちました。
バランスの良い野手陣の活躍
投手陣の安定に加え、今大会の日本代表は、野手陣がバランス良く活躍していて、こちらも優勝の一因だと言えます。
大会MVPを受賞した大谷選手に加え、WBC新記録の13打点を記録した吉田正尚選手、高い出塁率でチャンスメイクをした1、2番のヌートバー選手、近藤健介選手、チームトップの2本塁打を放った岡本選手など、名前を挙げ出すとキリがありません。
ちなみに、1次ラウンドは不振だった村上選手も、準決勝、決勝と非常に良い場面で復活し、チームに貢献しています。
ラーズ・ヌートバー選手の存在
日本代表のWBC優勝を語るにあたって、ヌートバー選手の存在は欠かせません。
ヌートバー選手は、初の日系アメリカ人として日本代表に選出され、特に1次ラウンドでは大活躍しました。
打撃や守備、走塁とさまざまな場面でチームに貢献し、一気に知名度を上げています。
また、ヌートバー選手は、気持ちを全面に出すプレースタイルで、チームの士気を上げるような役割も担っていました。
ほとんど初対面のメンバーばかりという状況で、ここまで献身的な姿勢を見せたヌートバー選手は、やはり今大会の優勝には欠かせないピースだったと言えます。
栗山監督の選手起用
日本代表が優勝を手繰り寄せた理由としては、栗山英樹監督の選手起用も挙げられます。
まず、1次ラウンドでは、1番ヌートバー選手、2番近藤選手、3番大谷選手という上位打線が揃って活躍し、結局大会が終わるまで、こちらの打順は固定されていました。
また、今大会で際立ったのが、不振の村上選手を我慢して起用し続けたことです。
準決勝のメキシコ戦、9回1点ビハインドの状況で、ランナーは1、2塁、ここで村上選手に打順が回ってきました。
短期決戦の国際大会では、このような場面において、たとえ主砲の選手であっても、調子が悪ければ代打を送られることは少なくありませんが、栗山監督はそのまま村上選手を送り出し、見事逆転サヨナラのタイムリーを放っています。
その他、セカンドを守る山田哲人選手、牧秀悟選手の使い分けや、準決勝の9回、代走の切り札である周東佑京選手を投入するタイミングなど、采配がバッチリ決まった場面が多く見られました。
まとめ
ここまで、日本が今回のWBCで優勝できた主な理由を解説しましたが、いかがでしたでしょうか?
史上最強という前評判に相応しく、日本代表は全勝という形で優勝を決め、日本全国に感動を与えてくれました。
そして、日本野球のレベルの高さを、あらためて世界に知らしめることになり、3年後に行われる次回大会にも大きな期待が持てます。