辛い症状を和らげよう!月経前症候群(PMS)と生理痛のメカニズムと対策
生理(月経)は、人によって非常に差があるものです。出血量、周期、期間、出血の仕方、そして痛み……。
千人いれば千通りの生理があるため、なかなか一元化して論じることができない分野でもあります。
特に痛みに関しては、「まったくない。出血しているのでその処置が面倒なだけで、それがなければ普段とまったく一緒だ」という人もいれば、「日常生活がまともに送れなくなるほど痛みがひどくて、その期間は仕事をセーブしている」という人もいます。
また、生理期間中の生理痛だけでなく、生理前の痛みや不快感を伴う人もいます。そうした生理前の症状を「月経前症候群(PMS)」といいます。
今回は、月経前症候群(PMS)と生理痛が起こるメカニズムと対策についてご紹介します。
月経前症候群(PMS)とは、生理が始まる少し前に起きる不快感を伴う現象
「月経前症候群」は、「生理前症状」「PMS(Premenstrual Syndrome)」とも呼ばれます。
この月経前症候群も生理と同じように人によって症状が違うのですが、ごく簡単に言えば、「生理前に起こる不快感を伴う現象」です。
大きく分けると、精神的な症状と体に現れる症状となり、主に以下のような状態になります。
- いらいらして落ち着かなくなる
- 普段はほとんど出てこないような憂鬱な気分にさいなまれる
- ちょっとしたことで泣きたくなってしまう
- 感情の起伏が普段よりも激しくなる
- 緊張してしまう
- 何事にも集中ができなくなる
- 胸がはる
- 胸に痛みが出る
- 肌トラブルが起きる。特にニキビが出やすくなる
- 頭が重く、熱っぽくなる
- 腰が痛くなる
- きちんと寝ているにも関わらず、異常な眠気が襲ってくる。もしくは、逆に眠れなくなってしまう
- 特に理由がないのに体がむくむ
これらの症状の中で、どれが一つだけが発症する場合もありますし、複数の症状が一度に現れることもあります。
月経前症候群は基本的に生理の1週間前に起こる
一般的に月経前症候群が起きる時期というのは「1週間」を基準とするケースが多いようです。
もちろんこれも個人差がありますから、早い人だと2週間ほど前から、遅い人だと2日ほど前から起きるということもあります。
なかには、「毎回、ハンで押したように、生理1週間前から体温があがり、生理5日前から胸がはり、生理前日から下腹部を押したときに鈍痛が走るようになる。いつ生理になるのかが正確に把握できて便利」という人もいます。
月経前症候群は女性ホルモンの働きで起こる
月経前症候群は、一般的に、女性ホルモンのバランスの変化によって起きると言われています。
女性ホルモンには、「エストロゲン(卵胞ホルモン)」と「プロゲステロン(黄体ホルモン)」があり、通常はエストロゲンの分泌量の方が多いのですが、生理10日前くらいからプロゲステロンの量が優位になります。
プロゲステロンは、女性の体を妊娠しやすくするためのホルモンです。
生理に向けてこのエストロゲンの量が増えるため、女性の体や精神状態は大きく変動するのです。
月経前症候群(PMS)の対策について
月経前症候群はホルモンバランスの問題ですが、ライフスタイルを改善することで、ある程度は軽減することができると考えられています。
まず、規則正しいライフサイクルと、バランスのよい食生活を送るようすること。
食生活が乱れると、人の体はむくみを起こしやすくなります。また、胸の痛みをもたらすこともありますから注意が必要です。
野菜を含め、すべての栄養素をバランスよくとることが大切だと言われています。以前ご紹介したPMS(月経前症候群)対策に効果的な食材を中心にメニューを考えてもいいでしょう。
お酒やコーヒーなどは嗜好品としては有用ですが、とりすぎるとよくありません。血行を悪くする煙草は止めたほうがいいでしょう。
また食生活以外に有酸素運動を行うことにより、月経前症候群は改善されると考えられています。
例えば、エアロビクスやウォーキング、ゆっくりとした水泳などが良いでしょう。
ただし、月経前症候群はホルモンバランスによるものですし、「ライフスタイルを変える」という方法では限界があります。
その場合は医療機関に相談してください。月経前症候群を和らげる薬も開発されていますから頼るのも良いかもしれません。
生理痛がもたらす痛みも千差万別
「生理痛」は、「月経前症候群」よりも聞きなじみのある言葉なのではないでしょうか。
生理痛も、月経前症候群と同じで個人差があります。
- いらいらしやすくなる
- 集中力の低下
- 何もする気にならない、無気力
- 心も体もだるく、意欲が低下する
- 腹痛(鈍痛、子宮が引っ張られるような痛み、はりに近いものなど、痛みの種類もさまざまです)
- 頭痛
- 腰が重くなる
- 腰痛
- 吐き気や嘔吐
- 食欲がなくなる
- 下痢
ただ、月経前症候群とは違ってどちらかと言うと身体的な症状の方が多いようです。
生理痛の症状のピークは2日目
マイナビウーマンが147人の女性を対象として、「生理痛が一番きつくなるのは何日目か」というアンケートを取りました。
結果は「2日目」が1位で、全体の52.4%と半数を超える人が
と答えています。続くのは「1日目」で、これが32%です。
3位に「生理痛はひどくない、つらくない」と答えた人が9.5%であることとあわせて考えれば、生理痛は、生理の期間の最初の方である1~2日目に頻出すると言えるでしょう。
参考:マイナビウーマン
生理痛の原因もホルモンにあり
では、なぜ生理痛になるのでしょうか。これもまた、「ホルモンの働き」によって説明ができます。
生理中は、「プロスタグランジン」というホルモンがよく分泌されます。
このプロスタグランジンは、生理の血液(経血)を体の外に出すために使われるホルモンです。
子宮を収縮させることによって血液を体外へ排出しているのですが、、痛みをもたらしたり、血流を悪くするという働きもあるため生理痛には様々な症状が見られるんですね。
このプロスタグランジンは、実は、陣痛促進剤としても利用されています。
もちろんプロスタグランジンによる陣痛と生理の痛みは、「痛みの度合」という意味で大きく異なりますが、「プロスタグランジンが子宮に働きかけ、子宮を縮めさせることによって起きる痛みである」というメカニズムは一緒です。
生理痛は薬に頼っていい!
生理痛を和らげる方法としては、月経前症候群のときと同じように適度な運動が効果的です。
また、血行が悪くなっていることが痛みの原因の一つですから、体を温めて血行を良くすることも生理痛に有用です。
しっかり湯船につかり、体を十分に温めましょう。クーラーがきいている部屋ならば、ブランケットで下半身を覆うようにします。
「薬はクセになる」として、痛み止めの薬の服用に二の足を踏む人もいます。
しかし、生理痛のときだけ飲んでいるのであれば、依存症になることはないでしょう。生理痛を和らげるために薬に頼ることは、解決策のうちの一つなのです。
「とにかく痛みを何とかしたい」ということであれば、痛み止めを使用してください。市販のものでも間に合わせることができますが、痛みが激しいということならば一度病院にかかりましょう。
「じっくり体を改善したい」ということであれば漢方薬も試すのも良いかもしれませんね。
痛みと不快感をもたらす、月経前症候群と生理痛。
女性特有の症状だからこそきちんとメカニズムを知って、対応していきたいですね。
Writer / 鍋谷萌子
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タグ:月経前症候群