安倍晋三銃撃事件で取り上げられている国葬とは?

時事ネタ

安倍晋三元首相が銃撃されて亡くなり、政府は9月に国葬を行うことを決定しました。
しかし、国葬は滅多に行われることがないため、どのようなものなのか良く知らないという人も多いでしょう。
国葬とはどのようなもので、どんな人が国葬になるのかを解説します。

国葬とは?

2022年7月8日、街頭演説中だった安倍晋三元総理は銃撃を受け、亡くなられました。
様々なトラブルが起こる中、長期間総理として国を守っていた阿倍元総理の葬儀については、9月27日に日本武道館で国葬が行われることが決定しています。

しかし、国葬というのは一体どのようなものなのでしょうか?
実は、以前に正式な国葬が実施されたのは1989年、昭和天皇の葬儀でした。
そのため、何をするのかは知らないという人も多いでしょう。

国葬には、2つの定義があります。
1つは、国に功労があったと認められる人が亡くなった際、葬儀を国家儀礼として行うことです。
もう1つは、国費を使用して行う、政府が主催する葬儀です。

日本で国葬という名称が登場したのは、明治時代のことでした。
初めての国葬と言われるのが1878年の大久保利通卿の葬儀で、それ以降も国家に功労があった者が死去した際は国葬が催されました。

そして、大正15年に国葬令が公布されて明文化されたのですが、第二次世界大戦後には国葬令が執行となり規定された国葬が無くなりました。
そして、皇室典範の規定によって、天皇が崩じた時は大喪の礼を行うと記述されるのみとなっています。

また、2019年の皇位継承で皇室典範特例法が制定されたのですが、その中では上皇の崩御の際も大喪の礼が行われると規定されています。
大喪の礼は国庫から費用が支出されるため、国葬となっています。

国葬は、国葬令が失効したことで国民葬も国葬に含めて考えられるようになりました。
また、国家に限らず内閣や党による合同葬も国葬として扱われます。
国葬や国民葬はめったに行われませんが、合同葬は何回も行われているため、それが国葬だと思っている人も多いのではないでしょうか。

今回、安倍元総理の国葬を行うことについては、岸田文雄総理が理由を述べています。
安倍元総理の在任期間が憲政史上最長であることや、内政だけではなく外交においても実績があり、国際社会からも高い評価を得ていることなどがその理由です。

しかし、国葬にする明確な基準などがないまま決定したため、野党や国民からはそれに反対する声や、詳しい説明を求める動きなども見られます。
すでに国葬の日程は決定していますが、それに向けて政府がどう動いていくのかは注目するべき点でしょう。

過去の国葬

では、過去に行われた国葬にはどのようなものがあるでしょうか?
また、その際にかかった費用についてもおおよその金額を紹介します。
先ほども言いましたが、初めての国葬と言われるのは1878年の大久保利通内務卿のものでした。

明治時代には全部で11件の国葬が行われていて、内務卿や大臣、藩主などと軍関係者、そして皇太后がいました。
大臣や藩主でいえば、大久保利通卿の次に行われたのが1883年の岩倉具視右大臣のものでした。

その後、18708年には左大臣の島津久光、1891年は太政大臣の三条実美、1896年が旧山口藩主の毛利元徳、1898年が旧鹿児島藩主の島津忠義、1909年が内閣総理大臣の伊藤博文でした。

軍関係者は、1895年に陸軍大将で参謀総長の熾仁親王と同じく陸軍大将で近衛師団長の能久親王、1903年には元帥陸軍大将であり参謀総長の彰仁親王の国葬が行われています。
1897年には、皇太后の大喪儀が行われました。

大正時代は、1912年の明治天皇や1913年の減衰海軍大将、軍事参議官の威仁親王、1914年の昭憲皇太后、1916年に元帥陸軍大将であり内大臣の大山巌、1922年の元帥陸軍大将であり内閣総理大臣の山形有朋、1923年に元帥陸軍大将であり内大臣の貞愛親王、1924年に内閣総理大臣の松方正義の国葬が行われています。

昭和になってからは、昭和2年に大正天皇の大喪が行われ、1934年には元帥海軍司令官の東郷平八郎、1940年に内閣総理大臣の西園寺公望、1943年には元帥海軍大将であり連合艦隊司令官の山本五十六、1945年に元帥陸軍大将で参謀総長の戴仁親王の国葬が行われています。

戦後になると国葬の頻度は大きく減少し、1951年に皇太后の貞明皇后、1967年に吉田茂内閣総理大臣の葬儀が行われ、平成に入ってからは1989年に昭和天皇の葬儀が行われただけです。

首相経験者の国葬には、どのくらいの費用が掛かるのでしょうか?
安倍元総理の前に行われたのは吉田茂でしたが、その際は国費から1810万円支払われています。

しかし、他に国が関わる首相経験者の葬儀として、合同葬が行われています。
実は、この合同葬に国庫から支払われる額は国葬よりも高額で、もっとも最近の中曽根康弘の葬儀では9643万円が支払われているのです。

合同葬の場合は、政党と国とで費用を折半しています。
そのため、実際にはその2倍、約2億円かかっているのです。
安倍元総理が国葬を行うのであれば、2億円前後が国庫から支払われることとなるでしょう。

まとめ

安倍晋三元総理の葬儀について、国葬を行うというのはかなり思い切った決断です。
初の戦後生まれの内閣総理大臣として新たな視点からの政治を行い、日本の抱える様々な問題へと立ち向かっていきました。
そういった人が不慮の死を遂げたのに対して、国葬を執り行うという決断は間違ったものではないでしょう。
昭和天皇以来、そして元総理大臣としては吉田茂依頼となる国葬は、どのように行われるのか注目しましょう。

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