幅広い層に人気の歌手である長渕剛氏が、自身のライブで発言したことについて、今一部で話題になっています。
その内容は、“北海道の中国化”に関するものであり、SNSではこちらの発言に対して称賛する声もあれば、否定的な声もあります。
今回は、北海道の中国化とは何なのかを中心に解説します。
長渕剛氏の発言内容について
長渕剛氏は、自身のYouTubeチャンネルにおいて2022年9月27日にアップされた、札幌芸術劇場でのライプレポート(9月10日に開演)動画において、「北海道という街は、その昔開拓民たちが一生懸命に開拓した街だ。お願いだからこの自然に満ち満ちた土地を、外国人に売らないでほしい」と発言しています。
こちらは、北海道という土地の素晴らしさを聴衆に向かって力強く訴えたものですが、SNSではこちらの発言について、「さすが長渕さん」「日本の誇り」などと称賛される一方で、「長渕本人もファンもネトウヨ(ネット上で右翼的な発言を行う者)」といった批判も見られます。
ただし、長渕氏は、同月に行われた香川公演においても同様の主張をしていることから、こちらは失言や放言ではなく、本人の強い信念に基づくメッセージであることがうかがい知れます。
北海道の中国化とは?
長渕氏は、前述した発言により、外国人排斥を訴えたかったわけではありません。
念頭にあったのは、北海道が外資によって買い漁られていることへの危機感だと見られます。
より具体的に言うと、中国をはじめとする外資勢による土地買収、リゾート開発への危機感であり、こちらが広がっていくことが“北海道の中国化”です。
つまり、北海道の土地がどんどん中国をはじめとする組織や企業の所有物となり、もはや中国の一部のような状態になることを指しています。
日本政府は、外国人が土地を買うことに対して極めて寛容な政策を取ってきたため、国内各地で危機管理上の問題が想定されるような土地買収が行われています。
また、自然豊かで広大な北海道もその標的の1つであり、他府県と比較しても、とりわけ中国化が進行していると指摘されています。
北海道の中国化における事例について
2018年1月、札幌市内のホテルで盛大な昼食会が開催されました。
こちらに出席したのは、高橋はるみ北海道知事と、許認可に関わる政府官僚、ニセコ花園リゾートの事実上のオーナーで、香港の不動産企業『PCPD』創業者であるリチャード・リー氏、そして『バードライフ・インターナショナル』の高円宮久子名誉総裁といった顔ぶれでした。
宮中晩餐のような優雅な雰囲気の中、公益法人などへの多額の寄付をすることがあるリー氏を囲んでの昼食会は、政府と自治体に対し、花園リゾートにお墨付きを与える効果もあったとされています。
また、当リゾートは過去10年以上にわたり、北海道の土地買収に加え、スキー場とホテルの買収、さらには大型コンドミニアムの建設と、着々と業容を拡大しています。
こちらはまさに、長渕氏が懸念している北海道の中国化を表す典型的な事例だと言えます。
北海道の中国化は何が問題なのか?
北海道の中国化には、経済活性化というプラスの側面もありますが、やはり問題の方が多いと言えます。
1つは、前述したような中国外資の土地買収が、領土占拠の足掛かりになりかねないことです。
中国資本による大規模な土地買収により、ゆくゆくは中国人移民が増え、北海道にはチャイナタウンがつくられていきます。
こちらに住む中国人が、土地にジワジワと入植し、地域コミュニティを形成し、ある日突然「この土地は我々の自治区だ」と宣言する可能性はゼロではありません。
実際、ここまでの状況にはならなかったとしても、そのエリアに日本の主権が及びにくくなる可能性は極めて高いと言えます。
また、もう1つの問題としては、安全保障上の問題が挙げられます。
特に自衛隊周辺の土地買収に関しては、規制する条例すら制定されておらず、自衛隊の装備品の現状や行動の監視、あるいはテロ攻撃を仕掛けられるなど、安全保障上の大きな問題になる可能性があります。
中国をはじめとする外国資本による土地買収に危機感を抱き、2011年にニセコ町は、水道水資源保護条例を制定しました。
さらに、北海道庁は2012年、北海道水源の保全に関する条例を施行し、水資源保全地域の指定、契約3ヶ月前までの事前届出制としました。
現在50以上の町村、延べ160以上の地域が保全地域に指定されていますが、現在の条例には軽微な罰則しか規定されておらず、今後中国資本による土地買収が、国家の存立要素をおびやかす可能性は否定できません。
まとめ
ここまで、長渕剛氏の発言にもあった北海道の中国化について解説してきましたが、いかがでしたでしょうか?
長渕氏は、かつて自衛隊の激励ライブも行い、防衛省から特別感謝状を贈呈されたこともあり、それだけに北海道の現状を言葉で伝えたかったのだという説もあります。
実際、中国資本が北海道で勢力を伸ばすことには問題が多く、防衛省や外務省、国交省といった機関と各自治体は、緊張感を持って体制を整備する必要があります。