芸能界でも男性アイドルの事務所では最大手のジャニーズ事務所では、創業者のジャニー喜多川氏が2019年に亡くなりました。
ジャニー喜多川氏が亡くなってからは、姪の藤島ジュリー景子氏が社長となったのですが、2023年にジャニー喜多川氏による性的虐待疑惑が浮上しました。
通称ジャニーズ問題と呼ばれる性被害問題について、解説します。
ジャニーズ問題とは?
ジャニーズ事務所は、日系人であるジャニー喜多川氏が1962年に創業した芸能事務所で、アイドルの開拓期から活躍し、1980年代のアイドルビジネス拡大によって規模を大きく広げました。
また、単に歌って踊れるアイドルから、様々なコンセプトを持ったアイドルを生み出すようになります。
料理ができるアイドルや農業を行うアイドルなど、マルチ路線に進んでいるのが特徴的です。
しかし、2023年にBBCで放送された長編ドキュメンタリーで、元ジャニーズメンバーがジャニー喜多川に性的虐待を受けていた疑惑がある、と放送しました。
さらに、元ジャニーズJr.が日本外国特派員協会での記者会見で、性的虐待被害を告発したことをきっかけに、実名や匿名での被害の告発が相次ぎました。
ジャニーズ事務所では、当時社長だった藤島ジェリー景子氏が性加害問題で騒ぎを起こしたことを謝罪し、被害を訴えている被害者にも詫びています。
しかし、事実認定はまだ全面的に認められないと回答しています。
被害者に対しては、相談窓口を設けて再発防止特別チームに調査を依頼して被害を明らかにしています。
同族経営による隠ぺいが問題だったとして、藤島氏は社長から引退し、所属タレントの東山紀之氏が社長に就任し、タレントは引退することが発表されています。
ジャニーズのタレントは様々な企業のCMなどに出ていたのですが、東京海上日動火災保険をはじめとして日本航空やアサヒグループホールディングス、キリンホールディングスなどが相次いでジャニーズのタレントを当面起用しないことを発表し、他の企業でも次々と起用を取りやめました。
10月からは、事務所の名前をSMILE-UP.に変更することを決め、所属タレントのグループ名はジャニーズが入っているものも入っていないものも、多くが改名されることになりました。
10月16日でジャニーズ事務所は幕を下ろし、17日からは新社名になっています。
ジャニー喜多川氏の性的虐待疑惑について
ジャニー喜多川氏の死後、社会問題になるほど多くの性的虐待疑惑が出てきたジャニーズ事務所ですが、実は死後にだけ問題が出てきたわけではありません。
もっと昔から、繰り返し性的虐待問題が出ているのです。
最初に問題となったのは1964年、まだジャニーズ事務所が発足して間もない時期です。
芸能学校の「新芸能学校」と授業料の支払い、並びに喜多川氏による生徒へのわいせつ行為が問題となり、裁判にもなっています。
翌年に、週刊サンケイでジャニーズの名前を出して記事にしていて公になっている問題でしたが、当時は同性愛というのはタブー視されていて、問題があったとしても隠す傾向があったため、表ざたにはあまりならなかったのです。
裁判では、性加害の証拠がないとして認定されませんでした。
1988年からは、ジャニーズに所属していたタレントや親しくしていたタレントなどによる、暴露本が複数出版されています。
元ジャニーズJr.の平本淳也氏の著書は、「ジャニーズのすべて―少年愛の館」とかなり直接的です。
1999年には、週刊文春がジャニーズ事務所の特集記事を組み、「ホモセクハラ追及キャンペーン」を行っています。
喜多川氏による所属タレントへのわいせつ行為に加えて、未成年者の喫煙なども取り上げました。
事務所OBや10名以上の少年が、かつて受けた性被害について取材を受けています。
合宿所と呼ばれた喜多川氏の自宅で、寝ている間に被害を受けていた、出張先のホテルでも被害があったと語っています。
東京都の青少年健全育成条例に抵触するのではないかともいわれましたが、当時は強姦罪が女性に対してのものに限られていて、タレント事務所の社長が所属タレントに性交を迫ったとしても、強姦罪や強制わいせつ罪には認められなかったのです。
また、日本では2023年まで、性行動異年齢は明治時代に定められた13歳のままでした。
今は16歳に引き上げられたのですが、今までは13歳以上なら抵抗できなくなるほどの暴行や脅迫があったと証明できなければ、強制わいせつ罪や強制性交等罪にはならなかったのです。
今までも繰り返し出ていた、ジャニー喜多川氏の同性愛性的虐待問題は、知っている人も多いでしょう。
しかし、問題が起きているのを知らずに入社した場合は事前調査が足りず、知って入社したのであれば危機感が足りないといえるでしょう。
もちろん、最も悪いのは加害者であるジャニー喜多川氏です。
しかし、早い段階でジャニーズ事務所の問題が広く知られて、所属するタレントがいなくなれば、以降の被害者は出なかったでしょう。
もっと大々的に警告する手段はなかったのか、非常に残念に思います。
まとめ
ジャニーズ事務所の創業者であるジャニー喜多川氏が亡くなってから、ジャニーズ事務所の元所属タレントから多くの性被害の告発が相次ぎ、ジャニーズ事務所は名前を変えることとなり長い歴史に幕を下ろしました。
ジャニー喜多川氏の性的虐待疑惑は事務所の創業時期からあり、何度も繰り返されていました。
有罪とはならなかったため事務所は存続されていましたが、被害が続くのを防ぐのが第一だったのではないでしょうか?